夏に右足の踵を骨折して先月まで大学病院の整形外科に通院していたのだが、驚いてしまったのは待合室で力士に2度も会ったことだ。
ひとり目の力士に会ったのは通院したての頃で、もうひとりの力士に会ったのは通院の最終日だった。ふたりとも待合室の椅子に窮屈そうに座って先生に呼ばれるのを待っていた。
もちろん、力士だって人間だ。病院に行くことだってそりゃああるに決まっている。というか、あれだけ過酷な競技を行なっているのだから怪我をしないほうがおかしい。
ただ、ちょんまげのせいだろうか。あるいは、あのやたらと大きな図体のせいだろうか。とにかく、なんだかものすごい違和感があった。
私には力士の友人や知人はいない。相撲だってテレビで見たことがあるだけで、現地へ行って生の取り組みを目の当たりにしたことはない。なんというか、「力士慣れ」をしていないせいか、想像上の生き物とまで行かないが、街中にいる力士にどうもリアリティを感じられない。
思えばこれまでにも自転車に乗っている力士や歩いている力士らを何度か街中で見かけたことがあるが、あのときも違和感バリバリだった。
「力士ってほんとうにいるんだな」
という現実をうまく飲み込めないのだ。
・100円ショップで買い物をしている力士。
・マクドナルドのレジの行列に並ぶ力士。
・渋谷のスクランブル交差点でオーロラビジョンを見上げながら信号待ちをする力士。
・渋谷のスクランブル交差点でオーロラビジョンを見上げながら信号待ちをしている最中、不意に思い出し笑いをする力士。
・映画館で『鬼滅の刃』を観る力士。
当然これらの力士も存在するはずだが、やはりどうもリアリティを感じられない。
ただ、
「サウナにいる力士」
これだけはまったく違和感がないし、むしろふつーに「アリ」な気がする。
というのは、昔よく通っていたスーパー銭湯のサウナ室で、某有名プロレスラーに、オリンピックのメダリストである某元柔道選手と、「やたらと図体のでかい人間」に2度も遭遇したことがあるからだ。
あのスーパー銭湯、ひさしぶりに行ってみようかな。力士に会いたくなったときに。
いるのかわからんが。