「大変だ! 宇宙人が襲撃してきた! ヤバいよヤバいよ~!!」
という内容の映画であるが、この種のディザスタームービーは「いかに絶望感を味わわせてくれるか」が肝であろう。そういった意味で、この『宇宙戦争』は充分合格点に値する映画と言ってよろしい。
なにしろ宇宙人どもの無双っぷりがハンパない。
レーザー光線みたいなもので人間を秒でぶち殺すし、おまけに軍隊がいくら攻撃しても宇宙船にバリアが張り巡らされているのでまったく歯が立たない。打つ手なしとはまさにこのことだ。
ひさしぶりにゾクゾクしたし、私はじつにいい感じで絶望しながら鑑賞していた。
ところが、終盤に差し掛かってくると一気に様子がおかしくなってくる。
宇宙人どもがうっかりミスを犯していたことが発覚するのだ。
物語の途中、宇宙人どもは大昔から地球に潜伏していて襲撃の機を伺っていた、という説明がなされる。そうであるのならば、たしかにかなり専門的な知識を要する案件だろうが、あきらかにやっちゃいけないミスだろう。少なくとも理科や科学の勉強をしっかりとやっておくべきだった。たま出版の韮澤さんだって宇宙人どもに説教せざるを得ないであろう。それほどのうっかりミスである。
とはいえ、あの天下のスピルバーグの監督作だ。
仮に宇宙人がほんとうにいるとしよう。宇宙船を運転中に突然眠気が襲ってきて、前を飛行している宇宙船のオカマを掘る宇宙人だっているだろう。インスタに縦読みらしきメッセージを投稿して不倫を疑われる宇宙人だっているかもしれない。
つまり、
「人間とおなじように宇宙人だってミスをする。完璧な生物なんていないんだ!」
という、これはスピルバーグならではのメッセージが込められているのではないか。
そう深読みすることができなくもない。
あるいはそんなことはないのかもしれないが、それにしても『魁!!男塾』を彷彿とさせるラストシーンにはびっくりした。
「○○生きとったんかいワレ!」
と全力で突っ込みたくなった。
ちなみにM・ナイト・シャマラン監督の『シックス・センス』は、逆に
「○○死んどったんかいワレ!」
と全力で突っ込むことができる作品である。
「なんだか全力で突っ込みを入れてみたいな」
という人には両作品ともに胸を張っておすすめできる映画である。