昨夜は中村佳穂のライブをはじめて観に行った。最新アルバム『AINOU』がわりと気に入ったので、クソ仕事を片付けたあと、わざわざクソ寒い中、クソ新木場STUDIO COAST、いやべつにクソじゃない新木場STUDIO COASTへ足を運んだ。
で、はてさて、だ。なんていったら良いのだろう。
ジャズ、エレクトロニカ、ヒップホップ、ダンスミュージック、ポップス、日本民謡、等々が高次元でスパークしているかのごときサウンド具合というか、とにかく、なんというか、もう、「最先端」って感じ。中村佳穂のパフォーマンス(歌やピアノはもちろん、和太鼓の叩きっぷりもすごかった)のみならず、サポートメンバーの演奏もじつに刺激的でいい感じにとんがっておられる。よくもまあこれだけ凄腕のメンバーを揃えたなー、と感嘆したし、んで、その中で圧倒的な存在感でもって躍動しまくる中村佳穂のすさまじさよ。
「わあ、やっぱ歌、とんでもなくうめえなー」
とか、
「わあ、このリズムセクション、すげえかっけーなー」
とか
「わあ、この音の配置具合、センスいいなー」
とか、とにかく感心するばかり。
随所に即興(まあ、事前にある程度打ち合わせしてたのかもしれんが)を織り込んだりとかライブならではのおもしろみもばっちり。というか、スタジオ音源よりも全体的に音が分厚い。シューゲイザーも顔負けの音の洪水っぷり。ハンパねえな、と思った。
で、はてさて、だ。
私はいまいち乗り切れなかった。
なぜなのだろう。自分でもよくわからない。
すごい演奏が繰り広げられているのは重々理解できたが、なんだか芯まで刺さりきらないというか。つーか、ぶっちゃけ5曲目あたりで「お腹いっぱい」になってしまった私がいたのだった。
ああ、なぜなのだろう。
わからん。
年末のためクソ仕事が忙しく疲れ果てていた、という私自身の体調の問題もあったのかもしれない。あまりの「最先端な感じ」に私のくたびれた脳みそがびっくりしすぎてうまく反応できなかったのかもしれない。
ただ、正直、
「ちょっと冗長かな……」
とは思ったり思わなかったりした。
「あと新曲3曲やって終わりまーす」
と中村佳穂が言った。
その言葉を聞いて私は便所へ向かった。膀胱が破裂しそうだった。
そして用を足しロビーでうんこ座りをしながら2・3分考えた。
「もう、いいか……」
帰ってしまった。
たぶん、新曲3曲の演奏が終わったあとにはアンコールが行われる予定だったはずだ。だのに帰ってしまった。
こんなことははじめてだ。フェスや対バンライブなんかであまり興味がないミュージシャンのライブを途中退場したことはなんべんもあるが、好きで単独公演を観に来たのに途中で帰ってしまったのははじめてである。
まさかこの私をライブの途中で帰らせるなんて、なんだかわからんが中村佳穂はすげえやつだと思った。
いつかまた観に行く機会があるかもしれない。ないかもしれない。とにかく私自身の脳と身体をリフレッシュさせることをまずなによりも優先すべきであろう。
とりあえず、いまは肩と腰が痛い。