ナンバーガールのライブにようやく当選した。
野音が外れ、ロフトが外れ、豊洲が外れ、
「ああ、いつになったら観られるんだ……」
と半ばくじけかけてたところだったが、ついに当たった。
しかも場所は解散前、最後にナンバーガールを観たZEPP TOKYOである。
嬉しい。嬉しすぎる。神に感謝したい気分だ。いや、神がいるなんて信じてないし、仮に神がいるとしたらむしろ往復ビンタしたうえ説教をかましたいくらいであって、正直、神なんぞどうでもよろしい。
よくぞ当てた俺。
そう自分を褒めてやりたい。
まあ、とにもかくにも私はライブを観に行くのが好きだし、またライブ盤を聴くのも大好きだ。
つーか、いまとなっては「ライブ盤」とは言わねえか。「ライブ音源」か。まあいいや。
というわけで、私の好きなライブ盤をいくつか挙げてみる。
●NUMBER GIRL『シブヤ ROCKTRANSFORMED状態』
まずはやはりナンバーガールから。ナンバーガールのライブ盤はわんさかリリースされているが(おそらく、再結成後のライブも音源化されるだろう)、個人的には最初に音源化されたこのライブ盤が一番好きだ。血管がぶち切れてるんじゃないかと思ってしまうほどすこぶるテンションが高く、なんならもう「殺る気」すら感じさせられる圧倒的なパフォーマンスが繰り広げられている。喉がちぎれんばかりに咆哮する向井がまず圧巻だし、さらに田渕ひさ子のドスの効いたギターが爆裂し、中尾憲太郎のベースは一見澄まし顔でありながらたしかな存在感を誇示している。もちろん、やたらと手数の多いアヒトイナザワの奔放なドラムも強烈このうえない。まるでダンプカーが疾走しているかのごとき音の渦に飲み込まれ、もう小便どころかうんこすら漏らしそうになる。全曲必聴、捨て曲なしの名ライブ盤。
●柴田聡子『SATOKO SHIBATA TOUR 2019 "GANBARE! MELODY" FINAL at LIQUIDROOM』
SATOKO SHIBATA TOUR 2019 "GANBARE! MELODY" FINAL at LIQUIDROOM
- アーティスト:柴田聡子
- 出版社/メーカー: Pヴァイン・レコード
- 発売日: 2019/10/23
- メディア: CD
上のナンバーガールと同じく柴田聡子もわんさかライブ盤をリリースしているが、現状、私が耳にしているのはこの盤のみなのでとりあえずこちらをセレクト。今年5月に開催されたリキッドルーム公演を収録したブツであり、ライブならではの荒っぽさがありながら、同時にシャープに引き締まってもいる柔軟性に富んだバンドサウンドを堪能できる。なによりピリっとした緊張感の隙間からメンバー各人がエンジョイしながら演奏している様子がありありと伝わってくるのがとても良い。名裏方Dub Master Xが手がけた生ダブミックスもお見事。柴田聡子の入門盤としても胸を張っておすすめできる。
●UA『la』
菊地成孔(T.Sax.)、外山明(Dr.)等、名だたるジャズミュージシャンとの共演作。ジャズ=なんだか小難しい音楽、とイメージする人も多かろうが、UAのお馴染みの曲もお馴染みじゃないかもしれない曲も基本ポップであるのでとくに構えて聴かなくても全然大丈夫。辣腕ジャズミュージシャンたちによる、すこぶる優雅で切れ味鋭いパフォーマンスはド迫力のひとことに尽きる。そして、UAもまたすごい。並のシンガーならこのダイナミズムあふるるバンド演奏に埋もれてしまうだろうが、ときに豪快に、ときにスキャットを交えながら変幻自在・自由奔放に歌いこなしている。UAのことを単なるポップスシンガーとなめている者はぜひ本作を聴いて腰を抜かすかびっくりしすぎて糞尿を思うぞんぶん垂れ流していただきたい。
●小島麻由美『Songs For Gentlemen』
初期~中期にかけての代表曲が聴ける名ライブ盤。なんといっても小島麻由美の歌声がとてもいい。いかにも「プロ」という感じの見事な歌うまっぷりなのだが、衝動的な荒々しさもしっかりと備わっていて、そこいらに掃いて捨てるほどいる「アタシ、歌うまいっしょ」的なシンガーとはあきらかに一線を画している。ワイルドで艶やかで色っぽくてもの悲しさも感じさせる歌声は唯一無二。盟友・塚本功(Gt.)を筆頭にバックの各プレイヤーたちも熱量たっぷりの演奏を繰り広げていて、小島麻由美の歌唱ならびに楽曲の魅力を最大級に引き立ててている。こちらももちろん捨て曲いっさいなし。
●キリンジ『KIRINJI 10th Anniversary~SPECIAL SHOWCACE FINAL @Billboard Live TOKYO』
KIRINJI 10th Anniversary~SPECIAL SHOWCACE FINAL @Billboard Live TOKYO [DVD]
- 出版社/メーカー: 日本コロムビア
- 発売日: 2009/08/05
- メディア: DVD
デビュー10周年記念ライブの模様を収録したDVD&CD同梱盤。個人的にキリンジはいくつか好きな曲はあるが、なんだかちょっとスマート過ぎるなあーって感じでいまいちはまりきれないのだが、 これは素晴らしい。キリンジならではのシャレオツ感・スマートさとライブならではの躍動感がいい感じにミックスされた極上のバンド演奏を聴くことが出来る。会場がビルボードライブ東京だからなのだろう、全体的にアダルトな雰囲気が漂っているのも風情があってじつに心地よい。
●SCOOBIE DO『LIVE CHAMP~A Best of SCOOBIE DO~』
LIVE CHAMP~A Best of SCOOBIE DO~
- アーティスト:SCOOBIE DO,RHYMESTER
- 出版社/メーカー: ビクターエンタテインメント
- 発売日: 2006/09/13
- メディア: CD
こちらは日比谷野音のライブを中心にセレクトされた2枚組。とにかく熱い。コヤマシュウの歌唱も、マツキタイジロウのギターも、ナガイケジョーのベースも、オカモト"MOBY"タクヤのドラムも、スタジオ作同様のクールさを保ちつつとんでもなく荒ぶっている。じつにエモーショナルかつエネルギッシュなライブであって、その熱く煮えたぎった演奏を目の当たりにしているオーディエンスも歓喜の声を挙げていて、拝聴しているこちらも否応なしにテンションが上がりまくる。「ああ、ライブってやっぱりいいなあ」と聴くたびに再確認させられる最高のライブ盤。
●FISHMANS『98.12.28 男達の別れ』
ベースの柏原譲の脱退に伴うツアーの最終公演録音作。もちろん、メンバーの脱退というのはバンドにとって一大事である。とくに柏原譲はベーシストとしてのスキルもフィッシュマンズの楽曲への貢献度という意味でもひじょうに高い。その3人のメンバーたちの最期のライブである。もちろん、観客もそのことをわかって観に来ているはずだし、バンドの意気込みも相当なものだったはず。だからなのだろう、終始張り詰めたような空気が充満していて、いまだに聴きかえすたびにこちらも緊張してしまう。鉄壁かつマシンのように完璧なアンサンブルに胸が熱くなるが、どこか人間くさくて息苦しくなるような寂しさも感じられる。そして、この公演の翌年に佐藤伸治が死去したため結果的に本盤が「オリジナル・フィッシュマンズ」のラストライブを記録する作品になってしまった。貴重なドキュメントであるとともに、再現不可能の永遠に光り輝く名演。
●ゆらゆら帝国『な・ま・し・び・れ・な・ま・め・ま・い』
これもすごい。サイケデリックな音の洪水。アッパーになったりダウナーになったりで、酩酊しそうになる。沢尻某も国母某もわざわざ危険な橋を渡らなくてもこの盤を聴けばナチュラルにトリップできたのに、馬鹿だなー。ああ、でもお薬や草をキメながらこれ聴けばもっとすげえことになるのか。なんだか興味が湧いてきてしまった……。いや、ダメ! これ聴けばふつーにトベるから我慢して! 耳で聴く合法ドラッグ。それが本作だ。
まだまだあった気がするがとりあえずこんな感じであろうか。気が向いたときに洋楽編も書くかもしれない。