気が向いたのでひさしぶりに聴いたり読んだりした音楽や本についてのわりと短めの感想を書いてみようと思う。尚、音楽に関してはすべて旧譜作品になります。
●【音楽】アラバマ・シェイクス『Sound & Color』
前々からバンド名だけは存じ上げていたが、向井秀徳や小島麻由美も気に入っているバンドらしいとのことでディスクユニオン御茶ノ水駅前店で中古盤をゲット。
で、まあ、正直、聴きはじめのころはいまいちピンとこなったのだが、それでも根気よく通して20回ぐらい聴いたらようやく「良い!」と感じられるようになった。
なんといってもバンドのメインヴォーカルでありギターを担当しているブリタニー・ハワードという人のパフォーマンスがすこぶる良い。
ものすごい声量があるとか抜群に歌が上手いというわけではないが、いかにも黒人シンガーならではのハスキーな声色がいいし、土の匂いがほの香るフレーズを随所に組み込んだギター奏法もじつに味わい深い。
基本はブルースやソウルやゴスペルなどのいわゆるルーツミュージック色を前面に押し出したロックサウンド。ではあるが、この手の音楽にありがちなこってりとした部分がなく、むしろすっきりとした聴き心地であるのが好感触。モダンでスマートでお洒落な感じというか。さらにはスライの「ファミリー・アフェア」あたりを想起させるチープな味わいを醸す楽曲なんかもあったりして、かなり引き出しが多いバンドだなあと感心した。20回ぐらい聴き終えてから。
個人的にはこれでリズム隊がもう少し暴れてくれていれば100点満点だったが、でも好き。次回の来日公演が実現したらぜひ観に行きたいと思う。
●【音楽】パーラメント『P-Funk Earth Tour 』
言わずと知れたファンクミュージックを代表するライブ盤である。
上のアラバマ・シェイクスを購入する際、中古で安く売られていたのでなんとなく一緒にレジへ持っていったのだが、正直に白状する。
もう10回以上通して聴いたはずなのに一曲も覚えられてない。
というか全曲おなじ曲に聴こえる。
なにより私が苦手としているこってりとした成分満載の音楽だ。とにかく尋常じゃないほどのこってり具合だ。
まあ、過去にいろいろなディスクガイドを読み漁ったので聴く前からじゅーにぶんに想像できてたよ。
ものすごくこってりしてるんだろうなーって。たぶん私が苦手としている音楽なんだろうなーって。
でも、音楽好きとして理解したいじゃないですか。
「P‐ファンクがー」
とか
「ジョージ・クリントンがー」
とかドヤ顔で語りたいじゃないですか。
とにかくファンキーだ。ノリノリだ。絶対に嫌いじゃない。ただいかんせんどうにも胸焼け感がハンパない。
あと20回ぐらい聴いて理解できなければとりあえず諦める。
●【音楽】13thフロア・エレベーターズ『Psychedelic Sounds Of』
- アーティスト: 13th Floor Elevators
- 出版社/メーカー: Charly (UK)
- 発売日: 2010/11/22
- メディア: CD
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これもディスクガイドでしょっちゅう見かけてて前々から気になっていた盤(ジャケットもかっこいいし)であり、ディスクユニオンで上の2枚と同時購入。
ディスクガイドによれば初期サイケデリックロックの隠れた名盤とのことだったが、じっさい耳にした感想としてはサイケの要素はあまり感じられず、なんだかフツーのクラシカルなガレージロックようなはたまたよくあるサーフロックのようなという感じがしないでもない。
大半の曲で「ポコポコポコポコポコポコ…」っていう今まで聴いたことがない不思議な音が聴こえてきて、とにかくこの「ポコポコ」がやたらと印象に残る。どうやらエレクトリックジャグというよくわからない楽器の音であるらしく、この「ポコポコ」が本盤をサイケデリックロックたらしめている要素のひとつであるっぽい。
ポコポコ音マニアにはたまらない盤だろうが、あいにく私はポコポコ音マニアではないので、「よくわからん」という感想しか思い浮かばないという残念な現状である。
これもあと20回ぐらい聴いて理解できなければとりあえず諦める。
●【本】島田裕己『ジョン・レノンは、なぜ神を信じなかったのか』
ジョン・レノンは、なぜ神を信じなかったのか ロックとキリスト教 (イースト新書)
- 作者: 島田裕巳
- 出版社/メーカー: イースト・プレス
- 発売日: 2018/03/08
- メディア: Kindle版
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アメリカのロックミュージシャンにキリスト教がいかに深く関連しているのかということを懇切丁寧に解説・分析してくれている本。
私自身、音楽関係の書物なり雑誌なりをいろいろと読んできたつもりだが、著者が本書で記しているとおり、日本の音楽ジャーナリズムでこの手の話題が触れられていた記憶はないので目からウロコな話が満載だった。
たとえば、「Lord」という言葉があり、私はいままでこの言葉をたんに「Road」を現代風におしゃれにした言葉だと思い込んでいたが、いやというか深く考えたこと自体これまでなかっただけだが、じつはキリスト教的に深い意味がある言葉であるとか。
で、その部分を読んで思い出したのが「Let The Lord Shine A Light On Me」という曲をノエル・ギャラガーがリリースしているということで、しかもこの曲はゴスペル風のコーラスも導入されているわけで、ふーむ、と思った次第。
もちろんこれはノエルに限った話ではなく、本書で取り上げられているエルヴィス・プレスリーやボブ・ディランなども著者の島田氏はきっぱりと断定こそしていないがおそらく「そういうこと」だったのであろうし、上に挙げたアラバマ・シェイクスの音楽もこの本を読んでから聴いたらなるほどなーと考えさせられるものがあった。さらにこの件に関しては本書では言及されてないが、戦時中のアメリカにおいてジョン・レノンの「イマジン」がなぜ放送禁止歌にされるのかも、なんとなく腑に落ちるものがあった。
私は無宗教の人間だが、この本を読んだからといってべつにキリスト教に対してオカルトな怖いイメージを持つなんてことはないし、じっさいそういう考えに至る人はいないだろう。いたとしてもごく少数の人間だけだろう。
ただ、個人的にはジョン・レノンが「サーヴ・ユアセルフ」という曲を作り
「どの宗教の神であろうと、そうした存在に仕えるのではなく、自分で自分の面倒を見ろ」
と歌ったという部分を読んで、やっぱりジョン・レノンってかっこいいな、と思った。
以上です。また気が向いたら来月も書きます。