『バンドやめようぜ!ーあるイギリス人のディープな現代日本ポップ・ロック界探検記』という本を読んだ。日本在住のイギリス人ジャーナリストによる日本のポップ・ロックの批評本である。
バンドやめようぜ! ──あるイギリス人のディープな現代日本ポップ・ロック界探検記 (ele-king books)
- 作者: イアン・F・マーティン,坂本麻里子
- 出版社/メーカー: Pヴァイン
- 発売日: 2017/11/25
- メディア: 単行本
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本書にはさまざまな音楽家が登場する。美空ひばり、西城秀樹、松田聖子、ジャックス、はっぴいえんど、フリクション、ナンバーガール、スーパーカー、くるり、にせんねんもんだい、さらには、つんくやSMAPやAKB48などなど、それこそ時代・ジャンル・メジャー・マイナーを問わず、あまたのミュージシャンやバンドやアイドルグループらの名前が続々と出てくる。
知らないミュージシャンやバンドの名前も多く出てきた。中でも衝撃を受けたのが以下のバンドだ。
「セックス」
もちろん、「ピストルズ」でも「マシンガンズ」でもない。「セックス」というバンドが、その昔、この日本の音楽シーンに存在していたらしいのだ。
驚いた。私は知らなかった。なにしろ「セックス」だ。そのままじゃないか。
「俺、今度、セックスのライブを観に行くんだ」
なんて口にしようものなら周囲の人間からいらぬ心配をされたのではないか。
さらにこんなバンドもいたらしい。
「マスターベーション」
やはりあまりにも直球過ぎるバンド名で驚いた。
もしも「セックス」と「マスターベーション」の対バンライブなんて開催されていたとしたら、事情がわからない人にとってはもうなにがなんだかと困惑するしかなかっただろう。
かと思えば、以下の名前を持ったバンドもかつて存在していたという。
ほんとうに驚いた。これだ。
「自殺」
いずれも1970年代のアンダーグラウンドシーンで活動していた「ニュー・ロック」と呼ばれるジャンルに括られているバンドであるという。
当ブログでも以前、「この時期には強烈このうえない名前を冠したバンドが数多く存在した」という記事を書いた。
上の記事では最終的に「“原爆オナニーズ”が一番すごい」という結論に至ったが、まだまだものすごい名前のバンドがあったのだ。
なんてなことを思いつつ本を読み進めていたら突然思い出した。
そうだ、私も昔、中野ブロードウェイにあったCDショップでワゴンセール品を漁っていたら、ものすごい名前をしたバンドのCDを見つけたんだった。
ためしにアマゾンで検索してみたら、なんと、あった。
以下がそれである。
「ザ・ポテトチップス」だ。
気合入りまくりのジャケットとバンド名のギャップがすごすぎる。
「いや、さすがに“ザ・ポテトチップス”はないんじゃないの…?」
と止めてくれる人はいなかったのだろうか。
尚、件の『バンドやめようぜ』であるが、「外国人がナンバーガールやスーパーカーやパニックスマイルを褒めてる!」と素直に喜ぶことができる人なら読んでみたらいいんじゃないかと思う。辛口な批評文がお好みの人にも胸を張ってお薦めしたい。ただ小室哲哉やSMAPやミスチルが好きな人はたぶん読まないほうがいい。