【音楽】ナイン・インチ・ネイルズ「LESS THAN」
ナイン・インチ・ネイルズ(以下「NIN」)に関しては、痩せぎす&長髪のトレント・レズナーが暗黒チックな音楽を歌い上げるスタイルから、いつのまにか筋肉モリモリのマッチョマン&坊主頭のヴィジュアルと化し、かつ、なんだかアニキ的な風情漂う「長渕」を彷彿とさせるスタイルになってしまい、以降すっかり興味をなくしてしまっていたが、新曲が発表されたとのことでYouTubeにアップされているのを視聴。
「Captain Of The Ship」の長渕のごとく「ヨーソロー」などと血気盛んに雄叫びを上げる曲なのでは、と恐る恐る再生ボタンを押してみたが、従来どおりのNINサウンドが展開されている曲で安心した。
クールでビターでポップ。分厚いノイズサウンドも健在で俄然嬉しくなった。
良い。気に入った。アルバム出るんなら、ひさびさに買うかもしれん。
尚、「長渕化したトレント・レズナー」の詳細なレポは↓の記事に書いてあるので、よろしかったら一読していただければ幸いです。
【音楽】リアム・ギャラガー「 For What It's Worth 」
10月にリリースされる初ソロアルバムから新たに公開された曲。
すでに公開済みだった「Wall Of Glass」「Chinatown」に続く第3弾となったわけだが、いやあ、これはなかなか良い。
正統派のギターロック系バラードで、これまでに公開された曲の中で一番オアシスに近い曲調である。メロディやアレンジに加えリアムのヴォーカルも哀切感があり、それでいてくどくない。とくに個人的には曲が3分あたりに進んだところで転調する瞬間がツボである。
にしてもこの曲、こないだ観に行った来日公演でも生で聴いたはずなのにまったく覚えていない。まあ、「バックバンドの演奏がヘボかったから」ということにしておこう。
尚、その来日公演につきましては↓で書いてますので、こちらもよろしかったら一読していただければ幸いです。
【音楽】エレファントカシマシ「風と共に」
初回限定盤には自分も観に行った年始の武道館公演(※こちらの記事で少し書いてます→★)の一部が収められたCDが付いてくるということだったのでそちらを購入。
「風と共に」とB面の「ベイベー明日は俺の夢」は、エレカシ流王道ポップソングといった感じの曲調で、あらためて宮本浩次の汲めども尽きぬ才能に舌を巻いた。と、同時に、アルバム『俺の道』(2003)を聴いてエレカシの音楽に衝撃を受けた身としては、ひさしぶりに怒りモードの楽曲も発表してほしいな、というのも正直な気持ちだったりする。
ところで、およそ個人的に8年ぶりの生エレカシとなった武道館公演を観に行ったときにも感じたことだが、宮本の声質があきらかに変わっているように思う。とくにファルセットや高い声を出すときに顕著で、こんなふうに書くと怒られてしまうかもしれないが、若干、和田アキ子が入っているというか、以前よりも歌声がもっと野太くなったように感じる。
加齢のせいかわからないが、いずれにしても、ちょっと慣れるまでに時間がかかるかもしれない。
【音楽】越路吹雪『エッセンシャル・ベスト』
「ろくでなし」という曲を小島麻由美がカバーしているのと、『古畑任三郎』で劇中使用されていた「ラストダンスを私に」という曲が強烈に印象に残っていたという理由で前々から気になっていたのでTSUTAYAでレンタル。
ちなみに越路吹雪は1980年にお亡くなりになられているとのことで、年代的に私は現役時代のご活躍をリアルタイムでは体験していない。
当然ながらアルバムに収録されているのは半世紀近く前に録音された古い曲ばかりだが、驚いたのは録音状態がとてもいいこと。アレンジや越路吹雪の歌声には凛とした品格が感じられ、どの曲にも「単に古い曲だから」という理由だけではない郷愁を誘うような味わい深さがある。
とても良い。素晴らしい。
で、俄然興味を持ちウィキベディアで越路吹雪の項目をいろいろと眺めていたら、じつは「ろくでなし」も「ラストダンスを私に」も洋楽のカバーとのことで、また驚いた。
ちなみに前者のオリジナルはワハハ本舗の梅垣義明でももちろんなく、サルヴァトール・アダモというベルギーの歌手で、後者はアメリカのコーラスグループであるドリフターズがオリジナルであるとのこと。しかも、ポール・マッカートニーはドリフターズの「ラストダンスは私に」を聴きながら「ヘイ・ジュード」を作曲したという逸話まで知って3度驚いた。勉強になりました。
ところで、このアルバムには「オー・シャンゼリゼ」という曲も収録されており、この曲がカバーであるのはさすがに知っていたが、優雅な歌声を心地よく聴いていたら、いきなり
「♪頭のおかしい男がギターを弾いてる店などいいじゃない」
という歌詞が登場してきて面食らった。
こういった歌詞もこの時代ならではなのかもしれない。
【本】松尾スズキ『東京の夫婦』
数年前に再婚した奥さんとの生活を綴った連載コラムをまとめた本。
松尾スズキとしては珍しく一人称が「僕」で統一されていて、また平易な文体で書かれているのも新鮮だった。
終盤に進むに従って重たいエピソードも描かれたりするが、松尾スズキならではの毒っ気のある笑える文章もきっちり差し込まれている。
東京というめまぐるしい街で様々なことに翻弄されながらも、笑い飛ばしながら健気に生きる夫婦の姿にほっこりさせられつつ、同時に他人事として軽く流せないようなヘヴィな現実に胃がキリキリするような感覚も覚えた。
以上です。気が向いたら来月も書きます。