『レッド・ウォーター/サメ地獄』っていうあきらかにB級っぽい映画を鑑賞したんです。
そしたらテレビ放送のやつなんで若干カットされてる部分があるかもですが、映画が始まって5分も経たないうちにビキニの金髪ねーちゃんがサメにおもいっきり食われるわけです。まあ、文字どおり即死ですわ。
私の遠い親戚にあたる人で、かつて芸能界を目指した女性がいるんです。
私よりも一回り以上年上の某地方在住のかたで、私が小学生のころ女優になるっつう夢を追ってオーディション受けるためにたびたび上京してきたんですわ。たまに私の親も好意で宿がわりに家(都内じゃなくて千葉だけど)に泊まらせてあげたりして、来るたび私は一緒にファミコンとかして遊んでもらったりして。
んで、しばらくしたら連絡がきたんです。
「ドラマに出たよ」
と。
「今度テレビでやるから観てね」
と。
「わあ、すごい! おねーちゃんがテレビに出るんだ!」
もちろんドラマが放送される当日は家族みんなでテレビの前にかぶりつきですわ。
で、ぶっちゃけ、ドラマの内容だとか、誰かほかに有名な俳優が出ていたかだとか、まるっきり記憶にない。
よく覚えてないけど、ヒロインを演じている女優さんの「友達D」みたいな役だったかな、とにかく親戚のおねーちゃんがテレビに映ったのはほんの数秒間であったわけで、「わーい!」なんつって賑やかだった茶の間が一瞬にして微妙な空気になったのだけははっきりと覚えている。
この映画のサメに速攻で食い殺された金髪ねーちゃん観たら、なんかそのこと思い出しちゃってさあ。親御さんとかこれ観ていったいどういう気持ちになったんだろうって。
「わーい!」
なんつって映画観たのに一瞬で娘がサメに食い殺されちゃってさあ。
もちろん俳優だからって誰もが主役を演じることができるって話ではないわけで。
映画でもドラマでも、まず主役を演じる俳優がいて、次に主役の仲間だったり悪役だったりのサブ的なキャラを演じる人がいて、んで冒頭の金髪のねーちゃんだったり私の親戚のねーちゃんのような端役がいて、さらに大勢のエキストラなんかがいて、それでひとつの作品として成立すると。
なので端役だって重要かつ立派なポジションであるわけだ。
でも、俳優だったら誰しもがいい役もらおうと必死になってるわけでしょ? それ考えるとなんかせつなくなっちまってさあ。
あとこの映画、クーリオが出てるんですけど、あっちのヒップホップの人ってなぜかやたらと俳優業に進出するんですね。ウィル・スミスしかり、LL・クール・Jしかり、アイス・キューブしかり。
私は洋楽のロックはわりと知っているほうなのですが、ヒップホップ関係はあんまりよくわからないんですよ。
たとえば、日本のロッカーでいったらクーリオの今現在の立ち位置は誰にあてはまるんだろうか。たぶん、ウィル・スミスが福山雅治(まあ、福山雅治は「ロッカー」とは呼べないでしょうけど)、LL・クール・Jが世良公則、アイス・キューブがハウンドドッグの大友康平、んでクーリオは甲斐よしひろ(いや、この人、俳優やったことないみたいだけど)あたりではないか。
よくわからんが、この映画を観てなんとなくそう思った。
主役を演じているのはルー・ダイアモンド・フィリップスという人であるが、筋肉モリモリのマッチョマンのくせにやたらとクーリオら悪党一味にボコボコにされてて笑った。最後にようやく挽回するが、こんなに見た目と強さが比例しないキャラも珍しいんじゃないだろうか。
それにしてもこの人、前になにかの映画で観たはずなのだが、その映画がさっぱり思い出せない。
まあ、十中八九B級映画だろう。なにしろ芸名に「ダイアモンド」なんて付けてるんだからそうに決まっている。
ためしにほかの著名な俳優に「ダイアモンド」って付けてみた。
「レオナルド・ダイアモンド・ディカプリオ」
「ライアン・ダイアモンド・ゴズリング」
「三船・ダイアモンド・敏郎」
「綾野・ダイアモンド・剛」
もう、『タイタニック』や『七人の侍』もB級映画にしか思えなくなるなこれは。