ミュージシャン別、ライブでの「お約束」5選

音楽好きにとってライブはビッグイベントである。

なにしろ好きなミュージシャンの姿を生で観られ演奏を聴くことができるのだ。楽しくないわけがないじゃないか。

事実、近年の音楽シーンはライブを観に行く人が増加傾向にあるとのことだ。一昔前に比べて音楽フェスが頻繁に開催されるようになったのもその影響によるものらしい。

音楽好きである私ももちろん、これまでに数々のミュージシャンのライブやフェスを観覧してきた。それでわかったのは、どのミュージシャンのライブにも「お約束」というものがあるということである。

有名なのは矢沢永吉のライブで必ず行われるという観客らによる「タオル投げ」であろう。ああいう「お約束」が、どのミュージシャンのライブにもほぼ必ずあるのだ。

そこで今回は私が知っているいくつかのミュージシャンのライブにおける「お約束」をご紹介しよう。

 

●エレファントカシマシ

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今年デビュー30周年を迎えますます精力的に活動を展開しているエレカシことエレファントカシマシ。これまでになんべんもライブを観に行ったことがあるが、フロントマンの宮本浩次を中心にエネルギー全開の気迫溢れる演奏が繰り広げられ、毎度圧倒されてしまうばかりだ。

そんなエレカシのライブにおける「お約束」とは果たしてなんであるか。

それは宮本浩次がやたらと「エビバデ!」という言葉を口にすることである。

ちゃんと数えたことはないのでよくわからないが、たぶん毎回ライブで10回以上は言っているはずだ。あと「頑張ろう!」もよく言う。

なにしろ、映画『アウトレイジ』の登場人物が発する「バカヤロー」「コノヤロー」と同じぐらいの頻度で

「エビバデ!」

「頑張ろう!」

と宮本が口にするのだ。

あるときに観に行ったライブでは、「ガストロンジャー」という曲を演奏している最中に「エビバデ! 頑張ろう!」と宮本が叫んだもんだから、つい笑ってしまった。

というのもこの「ガストロンジャー」、エレカシファンならばご存じだろうが、宮本が日本社会に対してまくし立てるようなヴォーカルスタイルでもって強烈に毒を吐きまくる曲なのである。

「いや、さすがにこの曲で“エビバデ! 頑張ろう!”は違うのでは……」

と心の中で突っ込んだ次第だ。

今年はサマーソニックなどの大型フェスにも出演するエレカシ。参加を予定されているかたは、ぜひエレカシのステージを観に行き生の「エビバデ!」「頑張ろう!」をご堪能していただきたい。「エビバデ!」「頑張ろう!」はともかくとしても、煮えたぎるがのごとき熱いパフォーマンスは必見の価値があることは私が保証する。

 

●ZAZEN BOYS

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現代社会を鋭く描いた詞世界のみならず、ロック、ファンク、ヒップホップ、クラブミュージックをごちゃ混ぜにしたような独特かつ個性的な音楽性を表現し続けているザゼン・ボーイズは、まさに名実ともに唯一無二の存在に位置するロックバンドと言えよう。ライブを観に行けばその高度な演奏技術にも瞠目させられること必至だ。

ザゼン・ボーイズのフロントマンは向井秀徳。見た目は冴えないメガネのおっさんだが、そのなりふりからはロック界のアンダーグラウンドシーンのトップを走り続けてきた貫禄や研ぎ澄まされた知性を感じさせられる。また人々を煙に巻くような話術にも定評のある漢だ。

そんなザゼン・ボーイズのライブだが、ある時期から向井がステージ上で

「ディス・イズ・ムカイシュウトク」

と発するのが「お約束」になった。

「これは向井秀徳です」

もちろん、直訳すれば上のような言葉になる。 

わけがわからない。

いかにも人々を煙に巻く向井らしいわけのわからなさだ。

バンドの4枚目のアルバム『ZAZEN BOYS 4』がリリースとなった際、ディスクユニオンでCDを購入するとアメリカでのライブを収めた特典DVDが付いてくるとのことだったので買った。

観たら驚いた。

ザゼン・ボーイズのステージを観覧しているアメリカのオーディエンスたちが日本のオーディスと同様の、いやそれ以上と言ってもいいぐらいのすさまじい喝采を送っているではないか。

さすが向井秀徳! さすがザゼン・ボーイズ!

だがそれ以上に驚いてしまったのが、この日のラストナンバーとなった「KIMOCHI」の演奏がまさに終了というその刹那、向井による恒例のメンバー紹介が行われた場面だった。

向井「ギター、カシオメ~ン!」

アメリカ人オーディエンス(以下、「ア」)「ウォー!!!」

向井「ドラムス、柔道二段、松下敦!」

ア「ウォー!!!」

向井「ベース、吉田一郎!」

ア「ウォー!!!」

向井「そしてワタクシ、ディス・イズ・ムカイシュウトク!」

ア「ウッ?……ウォー!!!」

あきらかに「ディス・イズ・ムカイシュウトク!」と口にした場面だけ、一瞬「?」という微妙な空気になっていたのだ。

アメリカでも向井秀徳は向井秀徳だった。

ロックの本場アメリカの人々をも煙に巻く向井秀徳に私は感心した。なんだかわからんがすげえなと思ったのだった。

 

●氷室京介

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数年前、突如としてライブ活動からの「引退」を発表したヒムロック。その言葉どおり、昨年、東京ドームにて『LAST GIGS』が開催と相成ったのは記憶に新しい。

私は中学のころ、BOØWYならびにヒムロックの熱烈なファンであった。

あいにくライブを観に行くことは叶わなかったが、BOØWYやソロ公演の映像作品はいろいろと鑑賞済みだ。

それで観ていて気づいた「お約束」が以下だ。

気持ちよさそうに歌っているのに、サビの部分に来たとたん、なぜか突然歌うのをやめるヒムロック。

そして、やおら

「カモン、セイ!」

とかなんとか言ってマイクを前のほうに向けると、そのままオーディエンスに歌わせるのだ。

おそらくヒムロック流のファンサービスなのだろう。

だが、

「一番聴きたいところなのに~!」

と突っ込みたくなろうというものだ。

 

●サマーソニック(千葉)

www.summersonic.com

 

こちらはミュージシャン単体の話ではないが、サマソニに出演する海外ミュージシャンによく見られる「お約束」である。

たとえば、それはMCの場面だ。大概やつらはこう言うのだ。

「サンキュー、トーキョー!」

いや、千葉だっつーの!

しかし、これは千葉のくせに「東京ディズニーランド」と名乗っている千葉のほうにも問題があるのかもしれない。

 

●リアム・ギャラガー

アズ・ユー・ワー

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最後に元オアシスのリアム・ギャラガーによる、いま一番ホットな「お約束」をご紹介しよう。

それは「途中退場」だ。

なにしろこのリアム・ギャラガーってやつは、ライブで2・3曲歌った後、いきなり退場してしまうことがあるのだ。

海外でのライブはもちろん、オアシス時代の来日公演でも2度ほどやらかしたことがある。しかも、なぜか2度とも福岡での公演だ。そのためオアシスファンにとって福岡は「呪われた町」とされているぐらいである。

そして、冒頭に「ホット」と書いたのはなんと今日行われたライブでもやらかしたからだ。

日本時間の本日早朝、アメリカで開催されたフェス、ロラパルーザにてまたやらかしたらしい。以下の記事に詳しく書いてある。

 

nme-jp.com

 

4曲目を歌っている最中の途中退場で、わずか20分のパフォーマンスであったとのことだ。

ちなみに「途中退場」の理由として毎度のごとく本人から語られるのが「声の不調」である。

「だったら出るんじゃねえよ!」

という批判をしても意味はない。諦めるべきである。

なぜなら、相手がリアム・ギャラガーだからだ。