【第13回】はじめて○○へ行ってみた「猫カフェ」(行った店:『にゃんこいわ』)

私は町田康のファンである。

INUの『メシ喰うな』はもちろんのこと、町田康の音楽作品は全部ではなく一部だが所持・愛聴しているし、町田氏が率いるバンドのライブも一度だけだが観に行ったことがある。

また、文筆家としての町田康に関してもファンである。

やはり全部の作品を読破しているわけではないが、『テースト・オブ・苦虫』をはじめとしたエッセイ本はこれまでに何度も繰り返し読んだほど大好きだ。

もちろん小説も素晴らしい。

『パンク侍、斬られて候』『告白』『真実真正日記』などなど、「町田節」としか言えぬ唯一無二な文体に加え、軽妙洒脱・奇想天外な発想でもって展開されるその世界観にはただただ圧倒された。私はページをめくるたびに感心し感動し驚愕し、あるいは腹を抱えて笑い転げた。

とはいえ、「猫本シリーズ」と言ったらいいのであろうか。正直、あれには一切興味が湧かなかった。

町田康と氏の奥さん、彼ら夫婦と飼い猫たちとの日々を綴ったエッセイ本である。

町田康のファンのみならず多くの猫好きに好評を博したためか、シリーズ本として計4冊刊行されている。

「ああ、こりゃホノボノ系のエッセイなんだろうな」

と読まずにいた。

べつにホノボノ系の読み物が嫌いというわけではない。

ただ、町田康にはそのテのモノは求めてなかった。だから読まずにいたのだ。

そんな先日、ブックオフに行ったら文庫本100円コーナーに例の「猫本シリーズ」の第一作目『猫にかまけて』があるのを見かけた。

猫にかまけて (講談社文庫)

猫にかまけて (講談社文庫)

 

 

「まあ、暇つぶしに読んでみようかな。100円だし」

軽い気持ちでレジへ持っていった。

家に帰ってきてさっそく読んでみたら驚いた。

めちゃくちゃ面白いじゃねーか!

読んでてホノボノしてしまう内容であったのは想像通りだったが、それだけではなかった。めちゃくちゃ笑えて、めちゃくちゃ泣ける本だった。もちろんお馴染みの「町田節」も遺憾なく発揮されていた。これで面白くないわけがないじゃないか。

反省した。

というわけで、猫カフェに行ってきた。

もうどうしようもなく猫と触れ合いたくなったのだ。しょうがないじゃないか。

さて、お邪魔したのは新小岩にある「にゃんこいわ」という店である(※下のリンク先が店のホームページ)。

nyankoiwa.com

 

店は新小岩駅のすぐ近く、飲み屋やパチンコ屋やスーパーなどが雑然と軒を連ねている繁華街の奥まった場所にぽつねんと建っていた。

古民家を猫カフェ用に改造した店だということは事前にネットで調べていたのでわかっていたが、じっさい単なるフツーの古びた一軒家にしか見えない。

猫カフェじたいはじめてということもあり、少々ひるんでしまったが、おもいきって店の前まで足を運んだ。

「猫カフェをご利用の方はチャイムを押してください」

とかなんとか書かれた紙が玄関脇に貼っつけられていたのでそのとおりにしたら中から女の店員さんが出てきて店に入れてもらった。

女店員さん「こちらははじめてですか?」

私「あっ。はい、そうです」

女店員さん「では2階のほうへどうぞ。部屋に入る前に手洗いと消毒をお願いします」

とのことで、階段を上がってすぐのところにある流し台で入念に手を洗い消毒剤を身体に吹きかける。そしていざ準備万端、いよいよ猫たちがいる部屋に入室した。

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すげえよ。猫、すげえいるよ。わらわらいるよ。そして、そこそこ近寄ってくるけど若干間をあけた、なんか微妙な距離感を保った場所に常にいるよ。たまに寄ってくる猫ナデナデしてみるけど面倒なのかすぐに離れてくよ。試しにおやつあげてみたらたくさん寄ってきたよ。調子に乗ってヒモついた棒を振ってやったら3匹くらい遊んでくれたよ。でも5分くらいしたら、また必要以上に付かず離れずの微妙なポジションに戻ってったよ。 

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そうだ。そうだった。

警戒心が強く、マイペースで、気まぐれで、おまけに飽きっぽい……それが猫という生き物なのだ。

気持ちはよくわかる。

なぜなら、私もおんなじような性格であり、なにを隠そう私もすでにもう飽きていたからだ。

30分。おやつ代込みで850円也。

思ってたよりも早く飽きてしまった。

でも、なんだかまた会いに行きたいという気持ちもある。そして、行ったらまたすぐに飽きそうでもあるが、そのあとしばらくしたらやっぱりまた会いに行きたくなりそうな気がしないでもない。

そうだ。私は、警戒心が強く、マイペースで、気まぐれで、おまけに飽きっぽい生き物なのだ。 

こんな私の性格をきっと猫たちならわかってくれるに違いない。

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