今週のお題「私の『夏うた』」
ジリジリと暑い日に聴きたくなる曲、夏になるとカラオケで必ず歌う曲、夏の記憶と一緒に思い出す曲などなど、あなたの「夏うた」を教えてください。皆さまのご応募、お待ちしております。
とのことで、とくにネタもないので書いてみようと思う。
尚、私は暑さにひどく弱い夏が苦手な人間なので、いかにも「夏!」って感じの賑やかしい曲は基本聴かない。むしろこの暑苦しい季節においては「涼しさ」を感じさせてくれる曲を聴くことを断然好む。なので、今回は「iPodをシャッフルして出てきた5曲を語ってみる」の番外編として、私のiPodに入っている「曲中に雨音もしくは波の音が使用されている涼しげな楽曲」を5曲選んでみた。
私のように連日に渡る酷暑ですでにへばっている人は、以下に挙げる楽曲を聴いてこのきびしい季節を乗り切っていただきたい。
Omar Rodriguez Lopez「Viernes」
元アット・ザ・ドライヴ・インで元デファクトでかつまた元マーズ・ヴォルタのメンバーでもあり、そのうえバンド活動の合間には大量のソロ名義作品を発表したり、さらにはアット・ザ・ドライヴ・インが再結成したことによって今は再び同バンドのギタリストとしても活動しているなんとも忙しいオマー・ロドリゲス・ロペスのソロ名義の楽曲。
しとしととした雨音がバックに流れる中、穏やかな歌声を聴かせてくれる女性ヴォーカリストとオマーによる柔らかいタッチが印象的なアコギ演奏が展開される。流麗なメロディも相俟って、なんとも瑞々しい清涼感を与えてくれる楽曲である。
MO'SOME TONEBENDER「rainy」
モーサムの6thアルバム『TRIGGER HAPPY』に収録されているこちらの曲では、1分48秒に差し掛かったあたりからちょうど1分間、激しめの雨音を聴くことができる。街の雑踏の音やパソコンを操っているような音なども挿入されており、孤独感を滲ませた都会暮らしの人間の情景が目の前に浮かんでくるようでじつに生々しい。およそ「夏」とは無縁の冷え冷えとした寂寞感を味わうことができる曲で、個人的にはビーチで遊んでいるリア充どもに嫌がらせで大音量で聴かせてあげたい。
FISHMANS「新しい人」
こちらは名作『空中キャンプ』のラストに収録されている曲。
フィッシュマンズほど完璧に「空虚」「虚無」というものを音で表現した音楽家を私は知らない。この曲はその究極と言っていいだろう。
「なんにもなさ」「意味のなさ」を描いた詞とサウンド、魂が抜けたような佐藤伸治の歌声と茂木欣一のバッキングヴォーカルによって構築されており、3分を過ぎたあたりから聴こえてくる激しい雨音がその寒々しい荒涼としたムードに拍車をかける。
じつに素晴らしい。夜中の公園で花火をしているリア充どもに嫌がらせで大音量でぜひ聴かせてあげたい曲だ。
Tim Buckley「Love From Room 109 At The Islander(On Pacific Coast Highway)」
大名盤『Happy Sad』収録曲。このアルバムがロックの名盤ガイドの類に掲載されているのを一度も見かけたことがないのが納得がいかない。息子のジェフと同様、親父さんであるティムもものすごい音楽家であることはこのアルバムを聴けば充分すぎるほどよくわかるだろう。
悲哀と虚無を内包した魅惑の歌声、12弦ギターの緩やかな音色、美しく鳴り響くヴィブラフォン、さらにその背後からは静かな波の音が終始聴こえてきて、まるで黄泉の世界に紛れ込んでしまったかのような不思議な心地よさに満たされてしまう。
ああ、本当に素晴らしい。キャンプ場でBBQパーティをやっているリア充どもに嫌がらせで大音量でぜひ聴かせてあげたい曲だ。
Otis Redding『(Sittin' On) The Dock Of The Bay』
飛行機事故によって若くして亡くなったソウルシンガー、オーティス・レディングのナンバー。この曲は事故の3日前に録音されたとのことである。
じつに堂々としていて落ち着いた様子のオーティスの歌声は、とても26歳の青年によるものとは思えないほど滋味にあふれている。こちらの曲ではイントロとアウトロの部分で穏やかな波の音を聴くことができるが、どこか儚げな雰囲気が終始一貫として感じられ、どうしてもその後の悲劇を想起せざるを得ない。まさに名曲と呼ぶに相応しい曲である。
以上です。また気が向いたら通常どおり続きを書くか、今回と同様に番外編としてなにかしら関連する楽曲を何曲かピックアップした内容の記事を書くつもりです。