「人間の身体は成長期を過ぎてしまえば、あとは老いてゆくだけなのだ」
と私は思い込んでいたのですが、どうやらそれは間違いだったと認めざるを得ない今日この頃です。
「こんにちは。鼻毛です」
隙あらば鼻毛の野郎がご挨拶してくるのです。
「いや、おまえにご挨拶されるいわれはねえよ!!」
私はノーサンキューの姿勢を頑なに示しているのですが、鼻毛はそんなことなどおかまいなしといった調子なのです。
若い頃の私は、鼻毛のことなどまったく眼中にありませんでした。
なぜなら、鼻毛が育たないのだから意識しようがなかったからです。
ところが、そこそこのおっさんになった今となっては、鼻毛はむしろ育ち盛りの時期を迎えているらしく、ちょっとでも気を抜くとすぐさま「こんにちは」と勝手気ままにご挨拶してくるのですからたまりません。
もちろん鼻毛が出ているおっさんはかっこ悪いでしょう。おっさんという生き物自体がかっこ悪いのに、あまつさえ鼻毛が出ているとなれば、これはもう、超かっこ悪いでしょう。
いよいよ鼻毛の勢いに脅威を感じた私は、つい先ごろ、エチケットカッターなるものを購入しました。ようするに鼻毛カッターというやつです。以下の商品がそれです。
これがまあ、じつに良い。びっくりしてしまいました。
なにしろ我が鼻の穴にこのアイテムを突っ込めば、元気に育った鼻毛が綺麗さっぱりと刈り取られていくのですから、もう、素晴らしいと言うしかありません。
超気持ちいいのです。
得も言われぬ爽快感で心が満たされてしまうのでした。
今となってはこの爽快感を得たいがために鼻毛が育つのを心待ちにしているといっても過言ではないほどです。
先日のことでした。
風呂上がり、私は恒例の鼻毛刈りにいそしむことにしました。前回の「刈り」から2週間ほど経過しており、手鏡で鼻の穴の中を確認すると、案の定、鼻毛がびっしりと育ちまくっています。私は勢い良く鼻毛カッターを鼻の穴の中に突っ込みました。あれよあれよという間に鼻毛が刈り取られてゆきます。まさに至福の時間です。
その刹那、ふとこんな考えが頭をよぎりました。
「ハッ! これってもしかしたらケツ毛にも使えるのでは……」
思い立ったが吉日です。さっそく実行しました。
で、結論から申し上げますと、やめましょう。ぜひやめましょう。
「アッーーーーーーーーーーーーーー!!!!!」
思わず声を上げてしまいました。
ヒリヒリするのです。
というのも、この鼻毛カッター、しばらく使用していると徐々に本体が熱くなってくるのです。おかげで肛門周りをヤケドしてしまった次第です。
おそらく鼻の穴は粘膜で守られているから問題なく使用できるのだと思われ、どうやら肛門周りの皮膚組織は私が思っていた以上に敏感にできているようなのでした。
当たり前ですが、もう2度とやりません。
なので、良い子のみんなはマネしちゃだめだよ、というお話でした。
すみません、とくにこれといってネタがないので、つい、いつもにも増してくだらない文章を書いてしまいました。
悪気はないのです。
許してください。