インターネットが普及したことによってしばしば問題になるのが、芸能(著名)人のプライバシーが侵害されていることである。
ある日、街を歩いている時にテレビによく出ている有名タレントに遭遇、その姿をタレント本人の許可なくこっそりスマホなどでパチリ、で、その写真をツイッターなどにアップ……というような行為のことだ。
「有名人み~っけ!」
という軽い気持ちからおそらく上記のごとき行為に着手するのだろうが、私にはこれがさっぱり理解できない。
そもそも街で見かけた有名人を写真に撮って、なんの意味があるのだろうか。
①「こんな写真、撮れたぜ」と、周囲に自慢するため。
②写真を額縁に入れて部屋に飾ることで、あんなに暗かった家庭が信じられないくらい和やかに……。
③厄除けのお守りがわりに。
④将来、二代目加納典明を継承する一環で。
⑤将来、二代目アラーキーを継承する一環で。
⑥というより、「テンメイやアラーキーには負けんぞ!」という反骨心から。
⑦「街で有名人を見かけたら無断で写真に撮って、ネットにアップしなさい」と、お母さんに常日頃から教育されていたため。
まあ、理由はなんであれ、やっぱり本人の許可なしにそれをやっちゃうのはよろしくないことだと思う。
ちなみに私自身、街で有名人に遭遇した経験はこれまでに何度かある。
美輪明宏。キャイ~ンの天野君。ゆらゆら帝国の坂本さん。柔道の鈴木桂治選手。オリラジのチャラくないほうの人。等々。
皆、街で偶然見かけた。
(※ゆら帝・坂本さんと偶然エレベーター内で一緒になった話↓)
(※美輪明宏をおなじ日に偶然2度も目撃した話↓)
いや、たしかに「おー、いるわー」と、心の中でざわついた。
しかし、一度だって彼らの姿を写真におさめたいと思ったことがないし、じっさい撮ったこともなく、ましてや本人の許可なくそんなことをするなどありえない話だ。
ついでに言えば、握手を求めたことも、サインをねだった経験も、一度もない。
理由は単純明快で、面倒だから。これらの行為・結果が、その面倒に見合うだけのメリットをもたらすとは思えないからだ。それ以上でも以下でもない。
……と、ここまで書いて思い出したが、そういや、以前、渋谷クラブ・クアトロでマーズ・ヴォルタのライブを観覧し、その後、当時クアトロの真下の階にあった古着屋で商品を物色してたら、バンドのギタリストであるオマー・ロドリゲス氏が突然やってきて、びっくりして、で、とりあえずまあ握手。
なんてことがあった。
いやいや、あれは断じて不可抗力である。
そう、出会い頭の衝突。
というより、信号待ちをしていた私の車に、オマー氏の運転する車がいきなり突撃してきたみたいな、いわばもらい事故のようなものだ。
とりあえず事故をもらわれたら、修理費用の保証など、それ相応の見返りを求めるのが社会のルールであり、で、オマー氏のときは、修理費用やひよこ饅頭等の粗品を貰うわけにもいかないし、というかじっさい車壊されたわけでもなんでもないし、なので、とりあえず握手してもらった。つまりはそういうことだ。
まあともかく、後日、その時の詳細(その有名人がどこで、誰と一緒で、どんな行動を取っていたか等)を友人などに面白おかしく説明して話のネタにさせてもらったりはするが、ともあれ、たとえその人物が個人的に好いている有名人であったとしても、基本的には「触れずたからず」をモットーとしている。
まあ、ようするに何が言いたいのかというと、街でみかけた有名人を許可なく写真に撮って、それをネットにアップしたりするのって、品がないよね、ということである。
いや、こないだたまたまそういう投稿を見かけたので。
が、しかしこうも思う。
「大戸屋に入ったら、隣の席でさかなクンがしまほっけの炭火焼き定食を食べていた」
もしそんな香ばしいシチュエーションに出くわしたらどうか。
ああ、撮っちゃうかもなあ。してまた、ブログにアップしちゃうかもなあ。
「共食いかよ!」というセリフ付きで。
まあ、ひじょうに難しい問題である。