スポーツ選手の愛称がどれも酷い件

つい今しがた、テレビで女子バレーボール日本代表の試合の中継がやっていたのでなんとなくだらだらと眺めていたら、不意に「プリンセス・メグ」のことを思い出した。

もちろん「プリンセス・メグ」とは、女子バレー元日本代表の栗原恵選手の愛称である。

それにしても、今さら改めて指摘することでもないだろうがプリンセス・メグはない。酷い。

なにしろプリンセスである。バレーと全然関係ないじゃないか。バレーボールの選手に付けるべき相性ではあきらかにない。

これに比べたら、同時期に栗原選手とセットでスポットライトを浴びていた大山加奈選手の愛称「パワフル・カナ」の方が、まだスポーツ選手っぽいイメージを想起させるだけマシである。

まあ、パワフル・カナにしたってもの凄く安易な愛称だと思うが、プリンセス・メグが放つ圧倒的なこっぱずかしさといったらない。いずれもたしか試合を中継しているフジテレビがつけた愛称だったと記憶しているが、プリンセス・メグに関しては良くも悪くもそのインパクトは絶大だ。

事実、私は栗原選手のことを「プリンセス・メグ」という固有名詞で思い出していた。

おそらく10年後も20年後も、たとえ栗原選手がおばあちゃんと呼ばれるような年齢になっても、私にとって栗原選手はずっとプリンセス・メグのままだろう。本当に栗原選手には申し訳ない気持ちでいっぱいだ。栗原選手の心中は察するに余りある。

テレビ局も飽きたのか、面倒になったのか知らないが、今観たバレーの中継ではどの選手も愛称では呼ばれてなかった。木村沙織選手が「マーメイド・サオリ」とか「アマゾネス・サオリ」だとか呼ばれてなくて幸いだ。

ともあれ、選手をてっとりばやく覚えてもらえて視聴者にアピールしやすいからなのか、スポーツ選手にこの手の愛称を付けるのはマスコミの常套手段である。

「ハンカチ王子」→斎藤祐樹(野球)

「浪速の闘犬」→亀田興毅(ボクシング)

「音速の貴公子」→アイルトン・セナ(F1)

「ウルフ」→千代の富士(大相撲)

「南海の黒豹」→レイ・セフォー(K‐1)

などなど、どれもが赤面せざるをえないものばかりだ。

サッカーの三浦知良選手の「キングカズ」も有名だが、あれは海外のマスコミが付けたものらしい。まあ、どこのマスコミもおんなじようなものである。

ちなみにサッカー界には他にもそのままズバリの「王様」(ペレ)や「神様」(ジーコ)もいれば、「神の子」(マラドーナ)だっているし、さらには「将軍」(プラティニ)やら「皇帝」(ベッケンバウアー)やら「王子」(トッティ)やら「博士」(ソクラテス)やら、おまけに「闘牛士」(ケンペス)、「魔法使い」(ベロン)に加え、「狂犬」(ダービッツ)、「山猫」(リネカー)などの動物類に、挙げ句の果てには「黒いチューリップ」(フリット)、「人間ヘリコプター」(サモラノ)、「空飛ぶオランダ人」(クライフ)などのなんだかよくわからないものまで、もうなんでもござれといった感じである。

中でも酷いと思ったのがこれだ。

「スシボンバー」

かつてサッカー日本代表のストライカーであった高原直泰選手がドイツのチームに在籍していた当時、地元マスコミから付けられた愛称である。琴欧州に向かって「ヨーグルト爆撃機」と呼ぶようなものだ。

6月に同じドイツ・ブンデスリーガ2部のチーム、ザンクトパウリに加入した宮市亮選手の愛称も現地のマスコミによってすでに命名されているらしい。以下がそれだ。

「Sushi-Flitzer(寿司飛ばし屋)」

なんでも付ければいいってもんじゃないと思う。

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