CDレビュー:「風間倶楽部/風間トオル」

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ケン「今日は風間トオルのCDをレビューしたいと思うんだが、一言でいってこれはありえんな
マイク「ああ、さすがにこれはありえんよ。ふざけてるとしか言いようがないな」
ジェーン「そもそも風間トオルがCDを出すこと自体がありえないわ
ケン「まあ、たしかにファンというやつはいつだって盲目さ。かつて風間の歌が求められた時代があったんだろうさ。あるいはそれはある意味、幸福な時代だったのかもしれん。しかしだからといって風間トオルがCDを出すことなんぞけっして許されることじゃないがな」
マイク「まったくそのとおりさ。お前もなかなかいいこと言うようになったな」
ケン「まあな。で、さらにありえんのはこのジャケットだよ
マイク「ちょっと待ってくれケン。たしかに、トランペット片手に物憂げな表情を見せる風間的な構図に対して『何様だ? コイツ』と思わなくもないが、レコードジャケットとして考えればむしろいたってありふれた構図じゃないか。これのどこがありえないというんだ」
ケン「いや、たしかにこんなようなジャケットはジャズのCDなんかではよく見られる、いたってありふれた構図さ。風間の音楽がジャズなのか否かという問題はこの際、置いておくとしてもだ。しかしそれにしても驚いたよ」
マイク「なにをそんなに驚いたというんだ」
ケン「じつは嫌々ながらもまあとりあえずということで、昨日このCDを再生してみたのさ。ところがだな、これがなんとも驚くべきことに……風間が吹いているべきトランペットの優雅な音色なんてのは、どの曲にも一ミリたりとも入ってなかったのさ
ジェーン「さっぱりわけがわからないわ」
ケン「つまり、このジャケットは風間的に『ボク、吹けないんだけどトランペット持ってるんだ。かっこいいでしょ~?』ということを意味するんだろうさ。あるいは、『ボク、トランペット吹けるんだよね~。でも、お前らなんかに聴かせてやらないよ』的な、つまりはそういうことなんだろうさ」
マイク「いずれにしろ気が狂ってるとしかいえんな」
ケン「ところが驚くのはこればかりじゃないんだ。というのも、じつはこのCD、風間の歌なんぞどこにも入っちゃいないのさ
マイク「なるほど。ということはラップでもかましてるのか、風間は」
ケン「そんなわけないじゃないか。まあ、風間がラップかましてたらそれはそれで面白いとは思うけど」
ジェーン「じゃあ詩の朗読ってところかしら。いわゆる、ポエトリーリーディングってやつね」
ケン「残念ながらそれでもないのさ。俺もうまく説明できないんでここはひとつ、CDを再生してみようじゃないか」

 

 

「仕事で幸せになるためには仕事に適してないといけないよね~。だからボクは仕事に適したボディを作るんだ。だって、いいコンディションじゃないとスタッフにもみんなにも失礼だろ? だからボクはボディを作る。もっと気持ちよく仕事をするためにも、もっと気持ちよく生きるためにも、快適な仕事、快適なボディ」②『ACT1 私生活』

 

「……んごぉぉ~ぅ!……ろっくっ!……ハァハァ……しっち!……ふぇぇ……はっち!……9!……10!……ふあぁ~!……1セット終了。今日はベンチプレス、もう1セットやっとこうかな? せっかく早起きしてきたんだから。どこのジムに通っているかだって? ……それはナイショ」 ③『ストレッチング』

 

「風間トオル、IN&OUT。イン、青い空。アウト、灰色の空。イン、柔道。アウト、相撲。イン、スニーカー。アウト、踵の高いブーツ。イン、洗いざらしのシャツ。アウト、糊の利いたシャツ。イン、ガラム。アウト、葉巻。イン、おせんべい。アウト、マシュマロ。イン、アジのひらき。アウト、アジのたたき。(中略)そして、一番好きなもの……海」⑥『IN&OUT』

 

マイク「いやちょっと待ってくれ、いったいなんなんだこれは」
ケン「さっぱりわけがわからんだろ」
ジェーン後ろで鳴ってるやけにオシャレ臭を醸すBGMがなんとも珍妙な雰囲気を一層強力にしている感じね
ケン「だな。これはなんていったらいいんだろうな。ようするに世間話? つまり、我々は“風間の単なるおしゃべり”を聴かされてるとでもいえばいいのかな」
マイク「悪夢だな、これは」
ジェーン「今日は眠れそうにないわ」
ケン「じつは俺も昨夜、このCDを聴いたせいでうなされまくり、結局一睡もできなかったんだ。なので電話したのさ」
マイク「どこにだ」
ケン「子供電話相談室さ」
マイク「で、やっこさんはなんて言ったんだ」
ケン「ここは40才のおっさんがかけてくるところじゃないってひどく叱られたよ」
マイク「正論だな」
ケン「そんな俺はニートさ」
マイク「当然過ぎる顛末で言葉も出んな」
ジェーン一刻も早く死んだらいいと思うわ」