映画『ウォッチメン』‐観れば納得する「Dr.マンハッタン最強説」‐

『ウォッチメン』は公開当時、映画館へ観に行った。

「あの『ダークナイト』を超える伝説のアメコミが映画化!」

とかいうような触れ込みだったからだ。

 

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ご多聞に洩れず、私も「伝説モノ」には弱い。

内容的にはざっくり言ってしまえば、争い事など問題が絶えない人類に警鐘を鳴らすSF映画である。趣味に合う映画だ。実際、重厚なストーリーで楽しめたし、このテの映画にありがちな説教臭さがなくていい。CGによる映像美もド迫力で圧倒された。2時間40分近くもあるかなり長い映画だが、まったくダレずに観られたのはテンポもいいからだろう。

しかし、なんにもまして「Dr.マンハッタン」には驚かされた。アメリカ、さらには世界の危機に立ち向かうスーパー・ヒーローのうちのひとりであり、元は人間だったが、不慮の事故により超人化したという設定のキャラだ。見た目は坊主頭なうえ、全身青一色である。

これだけでもなにやら凄いが、使える技というかその能力がなおさら凄い。

なにしろ巨大化はするし、身体を一切動かさずにスーツの着用だってできれば、お望みの場所への瞬間移動(宇宙空間含む)もお手の物。そのうえ、念力みたいな能力で人間を一瞬で粉々にすることも出来る。挙句の果てには同じスーパー・ヒーローで恋人でもある女とのセックスを分身二体に任せ、本体である自分は違う場所でのうのうと世界やら何やらの研究をしている。「バカにすんじゃないわよ!」つって途中で気づいた女は怒って帰ってしまうわけだが、とくに反省した様子もない。もう、やりたい放題だ。

なにより、格好が凄い。

なにも着ていない。

ようするに全裸である。

フリチンだ。

さすがに政府に要請されて出席した記者会見の場面ではスーツを着用しているものの、それ以外の場面では終始一貫してフリチンかパンツ一丁である。恥も外聞もあったものではないのである。

実際Dr.マンハッタンは、恥や外聞はもとより、人間らしい喜怒哀楽といった感情を一切なくした、いわば神に近い存在として描かれている。感情なんてのはちっぽけなものとして超越している存在なわけだ。だから、フリチンだろうがなんだろうが一向におかまいなし、ということなのだろう。

同じアメコミ映画の『ダークナイト』では、バットマンはもちろん、ジョーカーだってちゃんと服は着ている。

 

gu-tara-tonchi.hatenablog.com

 

さすがにちんこ丸出しじゃ寒いし、なによりかっこ悪い、ということなのであろう。

常識だ。大人としての最低限のマナーである。悪の限りを尽くすジョーカーだって、さすがにそこいらへんの分別はわきまえている。

バットマンやジョーカーが束になってかかっても、おそらくDr.マンハッタン相手では手も足も出まい。スーパーマンやスパイダーマンが加勢しても、無理に決まっている。

なにしろ相手は全裸だ。失うものはなにもないってやつだ。勝てるわけがないじゃないか。所詮、恥や外聞ばかりを気にしている輩じゃ、ちんこ丸出しでも全然平気なやつにかなうわけがないのである。