CMは商品とイメージ・キャラクターのバランスをよく考えて作りましょう、というお話。

以前、腰を痛めてしまったという話を知人にしたら、「バンテリンを塗れば治るよ」と言われ、「えっ、バンテリン?!」と思わず声を上げてしまった。

というのは、バンテリンといえば私の中ではほぼ「ラモス」であり、バンテリン本来の「薬剤」というイメージがほとんど頭になかったからだ。

円グラフにするとこんな感じである。

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これはじつに驚くべきことだと思う。

説明するまでもないだろうが、CMというのは本来、企業が売り出したい商品を宣伝するために制作・流通させるものである。ところが、バンテリンのCMの場合、不幸なことにまったくそのような形にはなっていない。バンテリンのコマーシャルというより、単なる「ラモスのPR映像」に成り果ててしまった感が強い。

ちなみに今現在、バンテリンのCMキャラクターを務めているのはプロゴルファーのタイガー・ウッズと有村智恵さんという同じく女子のプロゴルファーの人らしいが、正直まったく印象にないのである。ラモスが起用されていたのなんて、もうかなり前の話であるのにもかかわらずだ。それというのも、ラモスのキャラが立ち過ぎているからである。つまり、「ラモスがデカすぎる」という状況だ。これは「CM=商品の宣伝」という形態の考え得る、もっとも最悪なケースと言えよう。

 


ラモス バンテリン - YouTube

 

逆の例を挙げてみよう。

現在放映中の女優の新垣結衣がキャラクターを務めている「十六茶」のCM、それを観賞した人々がイメージしているであろう円グラフである。

 

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ご覧のように、「十六茶」と「新垣結衣」、双方が過不足なく絶妙なバランスで成り立っているのがよくおわかりいただけると思う。「十六茶」を普及させるという本来の目的を促す効果を成しているのと同時に、「芸能人・新垣結衣」のPRにもなっており、これぞ理想的なCMの形と言える。ちなみに、仮にラモスが「十六茶」のCMキャラクターを務めたとして、そのCMを観賞した人々がイメージするであろう円グラフがこれだ。

  

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ほとんど「ラモス」なのである。

これでは、普及するものも普及するわけがないではないか。

それもこれも、「ラモスがデカすぎる」からだ。

じつは、おなじサッカー選手を起用したもので「CMの理想郷」と言える「あるコマーシャル」がかつて存在したのをご存知だろうか。

そう、ペレがイメージキャラクターを務めたかつての「ED」のコマーシャルである。

なにしろ「ペレ」と「ED」、双方の成分が同等かつ強烈きわまりなかったため、一度観たら忘れられないインパクトがあった。

ただ、なにぶんインパクトが強すぎたゆえ、「ペレ自身がED」という誤った認識が広まってしまった感が否めず、ペレからしたら不本意な結果になってしまったかもしれないが、というか実際ペレがマジでEDなのかそうでないのか知らないが、まあいずれにしても面白いので良しとする。

なんつった、CMは商品とイメージ・キャラクターのバランスをよく考えて作りましょう、というお話。