あけましておめでとうございます!
さて、新年もめでたく半月ほど経ったみたいなのでエロ本について考えてみたい。
ここをご覧になってくださっている男子諸君は、初めてエロ本を買ったのはいつ頃だったか覚えておられるだろうか。
ちなみに私はたしか高校一年のときである。我ながらかなり遅かったと思う(もちろんその前に友人から借りたりして読んだことはあったが)。
言うまでもなくそれは、購入するための資金財力はもちろんだが、その他にも知力、洞察力、判断力、体力、そしてなにより何事にも物怖じしない決断力が必要であり、これら力のすべてを振り絞り手にした感動は、およそ筆舌に尽くし難い素晴らしき体験であった。
しかしながらなのだ。科学の発展というのはおそろしいもので、今やインターネットの検索機能を駆使さえすれば、エロ画像はおろかモロ画像をも容易く閲覧することができてしまうのであって、さらにモロ動画、ついには裏DVDの購入さえも何の困難なく達成できてしまうのだった。つまり、それはすなわちエロ本じたい買う必要がなくなった、と言ってもよろしい。
これはいけない。
そもそもかつての我国に於いて、男子一生初めてエロ本を買うという行為は、人生の大いなる壁を乗り越え、少年から大人になるための通過儀礼として存在していた。この通過儀礼を経験せずして何が日本男児だと言えようか。
いかがだろう。そう。言えまい。いや、言わせない! そんなやつは犬猫畜生同然である。
そこで今回は、今日の我国に於いて、自分の足で本屋に行きエロ本を買ったことがないという少年どものために、初めてのエロ本購入法について教授したいと思う。是非このテキストを参考にして、健全かつ立派な大人どもに育ってくださりますれば幸いだ。
①買う決意をする
まず「エロ本を買いたい」という己自身の内なる衝動をキャッチすることが重要なのであるが、馬に水を飲みに行けと言っても本人(本馬)にやる気がなければダメなように、己が買いたいと思わないならばもちろん無理して買う必要はない。
ただし、
「友達が持ってたから」
「初めて真剣に好きな子が出来たから」
「ヤンマガのアイドルグラビアを見てムラムラしたから」
「萬田久子をテレビで見かけたから」
など、必ずやってくる「そのとき」のために悠然とした心構えは万事備えておかねばならぬ。
②めぼしい書店を調査・吟味する
自宅から近所の書店で買うとなると親族・友人・知人に会ってしまう危険性が伴うし、かといって地球の反対側ブラジルの書店で買うとなると無駄な労力を使うことになってしまう(第一、どんなエロ本が売ってるのかいまいちよくわからない)。
なので、ここは自宅から2・3駅離れた「近からず遠からずの町にある書店」を選択するのが最も好ましいと言えよう。
ちなみに私の場合は自宅からわざわざ30分以上かけて神田の書店まで買いに行ったのだが、あのときはちょっとどうかしてたんだと思う。
③決行当日――書店に突入
あくまでもなに食わぬ顔で入店することが重要であり、自信があるのならスキップをしながら入店するぐらいの豪気を誇示してみるのもいい。
④関係ない本を立ち読みしつつ徐々にエロ本コーナーへ近づく
店員や他の客に悟られないよう細心の注意を払いながら行動すべし。ただし、立ち読みに熱中するあまり気づいたら閉店時間になっていたなどという失態は無きようにしたい。
⑤エロ本コーナー着
あまりの種類の多さに驚愕するとともに激しい立ちくらみを起こすだろうが、ここはひとつ深呼吸でもして心を静めたいところだ。前もって精神安定剤を服用しておけばモア・ベターである。
⑥購入するエロ本を精査・吟味する
もちろんこの段階でも店員や客に悟られてはならぬのであって、内容確認のための立ち読みはおろか書を手に取ることさえも禁物である。周囲に気づかれぬよう棚に目線をやりながら、あくまで表紙のみを見てというかある種の動物的直感に身を委ねて最適な書を選んでほしい。
まあ実際は己の趣味嗜好にあったエロ本を購入するのがやはり一番なのであるが、とはいえ『有末剛の緊縛基礎理術』といった「SMもの」や、『女の子の肛門写真集2014下半期版』といった「アナルもの」など、一部のマニアしか好まない類いの書を万が一購入してしまったら、その後の人格形成に支障をきたすことにも成りかねない。したがって、ここは些か不本意であるかもしれないが『メガべっぴん』『ペントハウス』あたりで無難に落ち着くのが一番かもしれない。
⑦「アイドルの写真集」はNG
篠崎愛写真集 Love Scenes: Ai Shinozaki
- 作者: 西條彰仁
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/09/19
- メディア: 単行本
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ここまで懇切丁寧に説明してあげているにもかかわらず、AKBのメンバーやら篠崎愛の写真集をレジへと持ってゆき「エロ本を買った」と我が物顔で宣言する輩が必ず出てくるのであろうから頭が痛くなってしまう。
私に言わせればあんなものはエロ本でもなんでもない。
「エロ本とアイドルの写真集の違いがわからない」
あるいはそんなふうに頭を悩ませている輩もいるかもしれないので詳しく説明しよう。
横文字のアートっぽいっていうかいかにもシャレオツな英単語が本のタイトルとしてつけられていて、なおかつ、水着、もしくはせいぜい半裸姿で
「これはあくまでも“芸術”ですよ~」
みたいな澄ました表情をしている女が表紙に写っているのがアイドルの写真集。
対するエロ本の方はどうかといえば、表紙にはビーチク丸出しのいかにもエロそうな女が大人数写っているのは当たり前で、その女どもの周りには「爆乳フルコース」だの「素人ナンパ猛烈ハメ撮り」だのといった、「オシャレ」とは無縁の扇情的かつ微笑ましいコピーが所狭しと埋め尽くされているのであって、まあ、とにかく実際に書店で両方を見比べてみて欲しい。少なくとも、『週刊文春』と『週刊新潮』の違いよりかはわかりやすいはずだ。
⑧レジへ持ってゆく
客が並んでいない隙を見計い、選択したエロ本を素早く手に取り、そのまま直行すること。それからすっかり言い忘れていたが、レジの店員が女だったらその時点で即刻アウトである。
⑨堂々と買う
「きっと店員は心の中で嘲笑してるに違いない」
といったご意見はよく訊かれる話だが、あれは嘘である。何を隠そう私は以前書店でアルバイトをしていたことがあるのだが、客がエロ本を買ったからといっていちいち気に留めている者などいないからだ。まして犯罪をおかしているわけでもないのであり、というわけで、堂々と自信をひけらかすかのごとく購入していただきたい。
⑩一緒に関係ない本も買う
「きっと店員は心の中で嘲笑してるに違いない」
といったご意見はよく訊かれる話だが、あれは本当である。何を隠そう私は以前書店でアルバイトをしていたことがあるのだが、エロ本を買う客などいようものなら休憩時間に於ける話題のタネとなるのは必至であったからだ。
というわけでここはひとつ先人たちの知恵に習ってエロとは関係ない書物、そうですね、『BRUTUS』とか『LEON』だとかを一緒に買えば後で鼻紙にも使えるので好都合と言えるんじゃなかろうか。
⑪店員と相撲を取る
「相撲」→「接戦の末引き分け」→「2人野原に寝っ転がる」→「なかなかやるじゃねえかお客さん…(店員)」→「アンタもな…店員さん(貴方)」→「固い友情が生まれる」→「エロ本をタダでくれる」となるかもしれないので余裕があるならやっておきたい。
⑫しかりと警戒しながら帰路へ
「家に帰るまでが遠足だぞ」とかつて修学旅行なんかから帰ってきたときに先生から言われたものであるが、それはこの状況にも当てはまる。
もしエロ本を買った帰り道に暴漢に襲われでもしたら、当然その後の死体検査で所持してるのがバレるからだ。
ましてや刑事が余計な気をきかせて「お子さんの遺品です」なんて親のもとに差し出しでもしたら、たまったものではない。ここは護身用のため事前に拳銃あるいはテポドンを携帯してから買いに出かけることを強くお薦めしたい。
⑬帰宅
無事帰宅したからといってまだ気を抜いてはならない。なにしろ家族というものはなぜかエロ本を買ってきたときほど鋭さを発揮する生物であり、たとえバッグに周到に忍ばせていたとしても
「なに買ってきたの?」
「いや、ちょっと本を…」
「アンタ、それってもしかエロ本?」
「ち、違うよ!」
などと、否応なしに勘付かれてしまうからだ。
したがってバッグなどを持たずなるたけ自然体の格好……ダウンジャケットの内側なんかに隠したら膨らみが目立たないし良いと思う。もし時期が夏場だったら違った意味で心配されるかもしれないが、エロ本を持ってることがバレるのに比べたら取るに足らないものである。
⑭自室着
ついにやってきたフリーダム。あとは読むなりチンコに擦り付けるなり好きにしてほしい。
……というわけで、いかがだろう。おわかりいただけただろうか。そう。困った時は下ネタがやっぱり一番手っ取り早いのである。ありがとうございました。