我流でアンガーマネジメントをやってみた

先日、仕事でひさびさにものすごいクソ野郎と出くわすハメになってしまった。これまでにも仕事でさまざまなタイプのクソ野郎と出くわしてきたが、今回のクソはほんとうにすごかった。近年稀に見る逸材中の逸材、クソ・オブ・クソだった。

結局、その日は終始イライラモヤモヤしながら仕事を終えた。

経験上、このままいつものようにどこかの飲食店に寄って晩飯を食って家に直帰しても、精神衛生上たいへんよろしくないことになる。頭の中では常にクソ野郎とのやり取りがエンドレスリピートされているからだ。せっかくの美味い飯も映画も音楽もまったく頭に入ってこない。かといって現実逃避しようと酒なんか飲んだら余計ムカムカするに決まっている。おそらく、そんな日が2・3日続くはずだ。

それで不意に思い出したのが、昨今よく耳にする「アンガーマネジメント」というやつだ。怒りをコントロールするとかいう下の本のようなアレである。

 

[図解] アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング

[図解] アンガーマネジメント超入門 怒りが消える心のトレーニング

  • 作者: 安藤俊介
  • 出版社/メーカー: ディスカヴァー・トゥエンティワン
  • 発売日: 2018/09/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
  • この商品を含むブログを見る
 

 

さっそく携帯を取り出し「アンガーマネジメント」でググッてみた。するとトップにヒットしたのが以下のホームページだった。

「日本アンガーマネジメント協会」

こんな大層な「協会」が存在するなんて私は知らなかった。

おそらく、このホームページをクリックすれば怒りを沈めてくれるさまざまな方法が掲載されているに違いない。なぜなら、なにしろ「日本アンガーマネジメント協会」のホームページだからだ。

だが、ホームページをクリックする気にはどうもなれなかった。おそらく懇切丁寧かつ長ったらしくまとめられているのだろうホームページの情報を悠長に眺めることができるような心の余裕がいまの私にはない。とにかく私はイライラしていた。

カラオケ店へ行くことにした。

日本アンガーマネジメント協会が推奨している方法かどうかは知らないが、好きな歌を大声で歌えば多少なりとも怒りがおさまるのではないか。

なにを歌うのかはすでに決まっている。初期から中期にかけてのエレカシの曲だ。とにかく「怒れる歌」といえばなんといってもエレカシだからだ。

めちゃくちゃ歌ってやった。「おはようこんにちは」や「生命賛歌」や「ロック屋」(五月雨東京)といった曲を、ありったけの怒りと怨念を込めて歌った。「うぉー!」だとか「ぎゃー!」だとか奇声混じりで歌った。汗まみれになりながら矢継ぎ早に曲を入れていき鬼の形相で歌い続けた。この状況を他人が見たら間違いなくKICHI‐GUYだと思うはずだ。

結局、1時間半、エンドレスで歌いきりカラオケ店を出た。

まだイライラやモヤモヤが多少残っているものの、なんだか気分がスッキリしている。

帰りの道中、かつやへ寄ってロースカツ定食を食った。美味かった。

その後、家に帰宅。すぐに汗まみれの身体をシャワーで洗い流した。とても気持ちよかった。

そして、風呂から上がり酒を飲んだ。ヤケ酒にはならず、とても穏やかな酒だった。

翌日、いつもの時間に起床。まだあのクソ野郎の顔がチラつくものの、気分は悪くない。むしろ清々しささえ感じる朝だった。あきらかに昨夜カラオケをしに行ったおかげである。

うん。今後、頭にくるような出来事があった日はカラオケに行くことにしよう。大声で歌を歌うことにしよう。決めた。

テレビをつけた。何度かさわりだけ見た記憶がある番組がやっていた。神田正輝、向井亜紀、勝俣州和が出ている旅番組だった。

ゲストが呼ばれた。神田うのだった。

なぜ、たまたま見たこの日にかぎってゲストが神田うのなのか。よりにもよって神田うのってことはないじゃないか。

なんだか無性に腹が立ってきた。と同時に、例のクソ野郎とのやり取りがまた脳内に蘇ってきた。一気に気分が悪くなった。

まったくあの野郎め。神田うのも神田うのだ。ふざけるんじゃねえよ。クソがあああああ!!!

そして、その日の仕事帰り、私が2夜連続でカラオケ店に駆け込んだのは言うまでもないのだった。