熊田薫は稀代の大馬鹿者である

熊田薫は大馬鹿者である。

これが私が出した結論である。

もちろん「熊田薫」とは、漫画『キテレツ大百科』に登場する「ブタゴリラ」のことだ。八百屋のひとり息子で、『ドラえもん』でいったらジャイアンのようなガキ大将の少年である。

UDF 「藤子・F・不二雄作品」シリーズ10 ブタゴリラ

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なにしろ「ブタゴリラ」である。「ブタ」だけでもひどいのにプラス「ゴリラ」なのである。

バケモノじゃないか。

こんなひどすぎる蔑称で呼ばれているのにもかかわらず、なぜ平気な顔をしているんだ。

そもそも私はこの「ブタゴリラ」というニックネームは仲間の誰かが付けたものだと思っていた。おそらくトンガリあたりが冗談半分で付けたのではないか。それで、当然はじめのほうは熊田も反抗していたが、いつのまにかなし崩し的に定着してしまったのだろう。そう思い込んでいた。

しかし、なにげにウィキペディアで『キテレツ大百科』の欄を読んでみたら驚いた。

「ブタゴリラとその家族」という項目にはこう書いてある。

 

本人は女性のような名前に非常にコンプレックスがあり、本名での呼称を防ぐため「ブタゴリラ」という蔑称のようなあだ名で自ら呼ばせている。

 

なんと、本人が呼ばせていたのだ。

とんでもない大馬鹿野郎じゃないか。

さらに上の文章はこう続く。

 

「ブタ」と呼ぶと怒る。また「ゴリラブタ」と間違われた際に「ブタゴリラだよ!」と訂正したこともある。

 

いったいこいつはなんなんだ。

「ブタ」と呼ばれるほうが「ブタゴリラ」もよりもまだなんぼかマシではないか。それに、「ゴリラブタ」と間違われるのはたしかにひどいと思うが、だからって「ブタゴリラだよ!」といちいち訂正するのもいかがなものか。

私には熊田という男がさっぱり理解できない。

まあ、漫画のキャラクターを理解しようとすること自体、無茶な話かもしれないが、それにしたって理解不能な奴である。やっぱり大馬鹿者だというしかない。