この間、千葉県某所を車で走っていたら一蘭を見かけた。
「たしか一蘭って有名なラーメン屋だったよな。今日はもうご飯は済ませちゃったから、今度またこっちに来たときに食べに来ようかな。というか、そもそもなにラーメン系の店だったっけ?」
などと、何の気なしに一蘭のホームページにアクセスしてみた。
正解は一蘭に行ったことがある人ならご存じだろう。とんこつラーメン専門の店である。
だが、そんなことはどうでもいいんだ。
とにかく私は驚いてしまった。なにしろ、この一蘭のホームページがやたらと凝っているのだ。
上の一蘭のホームページをじっさいにごらんになっていただければわかるだろうが、なんといってもクリック項目の多さに誰もが圧倒されるはずだ。
一般的なラーメン屋のホームページに掲載されている項目といえば、
「メニューの紹介」
「店舗案内」
「会社概要」
「採用情報」
ぐらいだろう。
もちろん、一蘭のホームページも上の項目はすべて揃っている。
そのうえ、一蘭の代表取締役社長である吉冨学氏を含めた幹部3名の挨拶文を閲覧することができる「代表挨拶」という項目や、吉冨学氏のラーメン哲学ならびに人生訓や氏の講演スケジュールが掲載されている「代表講演」という項目もあり、さらには「お休み予定の店舗」という項目をクリックすれば、たとえば
「名古屋錦店は2月22日の10時から10時30分までの間は店が閉まってるんだな」
ということまでもがわかるのだ。
一蘭は基本的にどこの店舗も24時間営業・年中無休らしく、たかが30分じゃないか、と、つい言いたくなってしまうが、この懇切丁寧さには頭が下がる。
しかも、ひとつひとつの項目に掲載されている情報の密度も尋常じゃない。
たとえば、「ラーメン」という項目をクリックしてみる。すると、「たれ」、「出汁」、「スープ」、「コラーゲン」、「麺」、「油」、「水」、さらには店で使用されている「どんぶり鉢」の情報や「召し上がり方」に至るまでこと細かく掲載されているのだから驚く。
さらに「衛生的な店舗にするために」という項目をクリックしてみると、まず序文がこうくる。
一蘭では、「そこまでしなくても...」と思われるくらい徹底的に衛生管理を行っております。
で、画面をそのまま下のほうへスクロールさせてゆくと、清掃の周期、水気や食中毒や害虫の対策方法に加え、トイレの清掃方法、ダスター洗浄、また手洗いルールの徹底についてや従業員の制服の管理方法ならびに体調管理に関することまで、とにかくあらゆることが掲載されている。まさに「そこまで載せなくても…」と言いたくなるぐらいの徹底ぶりである。
「五つの元祖」という項目もすごい。一蘭が全国ではじめて導入したという「味集中カウンター」「替え玉注文システム」「オーダー用紙」の誕生秘話などが長々と掲載されており、しかもオーダー用紙に関してはじっさいのサンプルまで確認することができるのだ。
「有名人ご来店情報」
という項目もある。
文字通り、一蘭を訪ずれた各界有名人の名前が一挙にまとめられているページだ。
来店情報の日時は2013年の11月30日からはじまっていて、この日、店にやってきていたのは木下優樹菜だ。ちなみに現在までに店にもっとも多く来店しているのは誰なのかためしに数えてみたら、1位に輝いたのはやはり木下優樹菜で10度、2位は華原朋美で8度である。自分で数えておいてなんだが、だからなんなんだと言いたくなってしまう。
それにしても、ここまで情報密度が異常に濃いホームページを隅から隅まできちんと読む人間がはたしているのだろうか。それこそ朝から読んだら、ラーメンを食う暇もなく一日潰れてしまいそうである。