映画『ジョーズ4 復讐篇』‐はじめてサメに感情移入した‐

ちょっと前に午後ローで放送された『ジョーズ4 復讐篇』を録画してたんでこないだ観た。

 

 

映画の続編モノは大概が地雷。まあ、鉄則中の鉄則だ。

なんで、全然期待なんかせずに観た。

「つうか期待してないんなら観るなよ」

って話であるが、そこいらへんはなんつうのかな、怖いもの見たさ? たまにとんでもないブスとかババアが出てるAVをついなんとなく勢いで見ちゃうときあるだろ? まあ、そういう感じ。

したら、

「おー、おもしろいじゃん!」

って意外な結果になって、んでアマゾンのレビューをチェックしてみたら、これがもう酷評のオンパレードでびっくりした。しかも驚くべきことに、映画が公開された翌年のラジー賞では7部門にノミネートされたうえ、不名誉にも最悪視覚効果賞を戴冠してしまったほどの悪名高い映画とのことではないか。

なんで? よくわからないんです。いやおもしろいでしょうよこれは!

スピルバーグが監督したシリーズ一作目となる『ジョーズ』は、もちろん言わずと知れた名作中の名作だ。

ただ、その『ジョーズ』と『ジョーズ2』の主人公マーティン・ブロディ(ロイ・シャイダー)はすでに心臓麻痺で死んだってことになっており、この『ジョーズ4 復讐篇』ではマーティンの未亡人エレン(ロレイン・ゲーリー)を中心とするブロディ一家がメインキャストとして登場する。

まず、映画が始まってしょっぱな、ブロディ家の次男がサメに食い殺される。

その後もほかの人間にはほとんど目もくれず、なぜかやたらとブロディ一家をつけ回すサメ。

おそらく本作に登場するサメは過去作で夫マーティンに退治されたサメの子供か孫かひ孫か親戚かいとこかはとこかあるいは友達かなんかで、ブロディ一家に執着するのはその敵討ちということなのであろう。

あいにく本作はコメディ作ではないらしくサメが自身の過去を回想するシーンとか出てきたりしないのでよくわからんが、そう解釈するのが自然である。対するブロディ一家次男を食い殺されるわなんべんもしつこく襲われるわで怒り心頭だ。

つまり、『ジョーズ4 復讐篇』というタイトルは、ブロディ一家とサメ一家、両者による弔い合戦であることを意味するわけだ。

本作に登場するサメの恐ろしさをとりわけ身にしみて感じられるのは、ブロディ一家がアミティからバハマに移ったあともなおもしつこく追いかけ回すところである。

アミティからバハマっつって、まあ、私は地理に詳しくないんで知らないが、おそらく中野から高円寺間程度の近距離の移動ではないはずだ。であるにもかかわらず、サメはエスパー並の能力でもってブロディ一家の居場所を突き止めるのだからじつに恐ろしい。

この描写に対して「リアリティが皆無」と苦言を呈されているアマゾンレビュアー御仁がいらっしゃったが、はっきり言ってそんな些細な問題はどうでもいいんですよ。

だって、GPSとかもまだ普及していない時代にですよ。もうね、執念ですよこれは。

しかもこの映画、なにかっちゃあればロレイン・ゲーリーと恋人役のマイケル・ケインや、ゲーリー家の長男と妻がイチャイチャする描写が出てくるんです。

つまり、

「いい思いばかりしやがってコノヤロー! 懲らしめてやる!!」 

というリア充に対する我々日陰野郎どもの怒りをこの映画はサメ視点でもって代弁してくれているわけなんです。

私はね、はじめてサメに感情移入しましたよ。

こんなにも人間味溢れるサメが描かれた映画があるでしょうか。

ないでしょう。こんな脚本、馬鹿か天才じゃないかぎり思いつかないよ。

脱帽した。

というわけで一度でいいから騙されたと思って観てみるといいと思うよ。騙されるから。

いや、さすがに褒めるのには無理があったなこれは……。