【第11回】はじめて○○へ行ってみた「ポール・マッカートニーのライブ」

ポール・マッカートニーのライブをはじめて観に行ってきたのである。

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なにしろあのポール・マッカートニーである。人類が存在しているかぎり未来永劫語り継がれるであろう偉大なミュージシャンである。これまで私が観に行った中で間違いなくトップと言える存在の超大物ミュージシャンである。

とはいえ、ぶっちゃけ私はポール・マッカートニーの熱心なファンといえるほどの者ではない。ビートルズは大好きだが、ソロの作品やウイングスの音楽はほとんどロクに聴いちゃいない、いわば、にわかファンである。それでも2万近くの大金払って観に行くことにしたのは、今回を逃したら「もう2度と観られないかもしれない」という思いがあったからだ。

ここ数年、ロックの創世記にご活躍された洋楽ミュージシャンの訃報を耳にする機会が多い。ポール・マッカートニーは現在74歳。もちろん不吉なことは考えたくもないが、今回の来日が最後になっても充分おかしくない年齢である。

もちろん74歳であり「おじいちゃん」と言っていい年齢なわけで、全盛期のようなパフォーマンスを期待するのは酷な話だろう。

私の席は2階中央のややライト寄りの場所であった。

「ドームってこんなに広かったっけ?」

と思ってしまうぐらいめちゃくちゃデカい。

東京ドームは猪木の引退試合を観に行ったとき以来であり、調べてみたらもう19年も前だった。あんときはたしかセミが藤波の試合で「引退カウントダウン試合」と銘打たれていたはずだが、19年経った今現在も藤波は引退していない。どんだけ長い引退カウントダウンなんだ。

などとどうでもいいことを考えながら18時30分の開演時間から待つことおよそ20数分後、ついにポール・マッカートニーがステージに登場。

オープニングナンバーは「A Hard Day’s Night」だ。

遠いよー。豆粒のようにしか見えない。最新のPA設備を導入しているはずだが、音響もけっして良いとはいえない。まあ、でもそんなことはどうでもよろしい。豆粒かつ音もブートレグ並みに荒いが、あのポール・マッカートニーがビートルズの曲をベースを弾きながら歌っているのだ。これ以上の感激があるだろうか。

その後、知らない曲を挟んで(「Save Us」という曲でした)「Can’t Buy Me Love」を披露。うん。声もよく出ている。というか、「おじいちゃん」と言えるレベルの歌声じゃない。じつにパワフルでエネルギッシュな歌声だ。

さらに「Jet」や「Let Me Roll It」といったウイングスの代表曲も披露。ここいらへんの曲は、事前に『Wings Over America』というアルバムを購入・聴き込んでいたおかげもあって素直に盛り上がることができた。

その後も「Maybe I’m Amazed」や「And I Love Her」や「Blackbird」など、大好きな曲が立て続けに演奏され、俄然テンションが上がる。

ジョージ・ハリスンのビートルズナンバー「Something」のカバーでは、ポールのウクレレによる弾き語りからはじまり途中でバッグバンドが加わるという形で、これも大いにテンションが上がったが、意外だったのがその次に演奏された「 Ob-La-Di, Ob-La-Da」だ。ポールならではのお気楽な曲であり、盟友ジョン・レノンに酷評を浴びた曲でもあり、ビートルズリスナーにもあまり好かれている印象のない曲だが、これがライブではじつに映える曲であって、会場も大盛り上がりだった。

会場中を合唱に巻き込んだ「Hey Jude」で本編終了。時間を確認したら21時過ぎ。74歳のご老人が、およそ2時間近くもの間、休むこともなく、パフォーマンスを繰り広げていたことに驚愕する。

ポール・マッカートニーに常識を当てはめてはならないのだ。

「老人なんだから」

「もうおじいちゃんだしな」

と、なめてかかっていた自分が恥ずかしい。

アンコールの最後、「Golden Slumbers」~「 Carry That Weight」~「The End」の『アビイ・ロード』メドレーではライブを観ていてひさしぶりに鳥肌が立った。いやあ、素晴らしい。感動だ。

計39曲、およそ2時間半近くのステージ。あと10回は来日公演しに来てくれるんじゃないか。そう思わされてしまうほど「おじいちゃん感」はまったく感じられなかったし、もっとポール・マッカートニーの音楽を聴こうと純粋に思った。

 

ポール・マッカートニー「One On One」ジャパンツアー/2017年4月29日@東京ドーム

セットリスト

01. A Hard Day’s Night
02. Save Us
03. Can’t Buy Me Love
04. Jet
05. Temporary Secretary
06. Let Me Roll It
07. I’ve Got a Feeling
08. My Valentine
09. 1985
10. Maybe I’m Amazed
11. I’ve Just Seen A Face
12. In Spite of All the Danger
13. You Won’t See Me
14. Love Me Do
15. And I Love Her
16. Blackbird
17. Here Today
18. New
19. Queenie Eye
20. The Fool on the Hill
21. Lady Madonna
22. FourFiveSeconds
23. Eleanor Rigby
24. I Wanna Be Your Man
25. Being for the Benefit of Mr. Kite!
26. Something
27. Ob-La-Di, Ob-La-Da
28. Band on the Run
29. Back In The U.S.S.R.
30. Let It Be
31. Live And Let Die
32. Hey Jude
encore
33. Yesterday
34. Sgt. Pepper’s Lonely Hearts Club Band (Reprise)
35. Hi, Hi, Hi
36. I Saw Her Standing There
37. Golden Slumbers
38. Carry That Weight
39. The End