【私的エレカシ黄金期】『俺の道』(2003)から『町を見下ろす丘』(2006)までについて

年始に行われたエレカシの武道館ライブを観に行って以来、ひさしぶりにエレカシ熱が俺の中で再燃している。

 

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基本的に物持ちの悪い俺だがライブのチケットはちゃんとファイリングしてあるので、

エレカシ前回いつごろ観に行ったっけかな」

と何気に思って調べてみたら、もう8年近くも前のことだった。

正確には2009年の9月23日、場所はJCBホールで行われたライブであって、ザゼン・ボーイズとの対バン形式だった。

トップがザゼン・ボーイズ、トリがエレカシという順番で、宮本浩次がMCで

「いやーすごかったね、ザゼン・ボーイズ!」

とかなんとか言っていたのをなんとなく覚えている。

いやあ、懐かしい。

俺はエレカシのファンである。

それは間違いないと声を大にして言える。

そんな俺がなぜエレカシのライブから8年近くも遠ざかってしまったのか。理由がある。

「♪さあ頑張ろーぜ」とか歌われる例の曲がリリースされたあたりから、なんだかJ‐POP臭の強いキラキラとした曲調・アレンジになってしまったからで、以降のエレカシの活動にどうも積極的に関心を寄せる気になれなかったのだ。

で、結局、ライブはおろか、その後にリリースされたアルバムは一応所持はしているものの、通して1回か2回程度聴いただけでCDは棚にしまってある状況である。

今回、およそ8年ぶりにライブを観に行ったのは、こんなんでファンと宣言するのも少々気が引けるが、

「まあ、ひさしぶりに観に行こうかな」

という至極単純な理由からだった。

で、肝心のライブだが、ぶっちゃけ実感としてはさほど興奮も感動もしなかった……はずだったが、2日3日と日が経つにつれ「やっぱいいわエレカシ!という思いが自然と沸き起こり、気づいたらエレカシのCDを聴きまくっている今日この頃である。

結局、なんだかんだ言ってライブを観て心動かされていたということなのだろう。我ながら鈍感にも程がある。

エレカシのこれまでの歴史は4つの時代に分かれているのはファンの間ではよく知られた話だ。

ロックとフォークミュージックと浪曲をミックスしたかのような独創的な音楽性と宮本の溢れんばかりの衝動を炸裂させた楽曲が主な、その筋のマニアや音楽評論家からも高く評価されている初期の「エピック時代」。

エピックから契約を切られるなどの憂き目に遭いながらもポップな音楽性へと次第に方向転換してゆき、結果的にいくつかのヒット曲がチャートを賑わせた「ポニーキャニオン時代」。

その後も「ガストロンジャー」などのヒット曲や、宮本が連続ドラマに出演したりなんかして話題を振りまきつつも、次第にテレビ出演やヒットチャートからはフェードアウトしていった「東芝EMI時代」。

そして、再び大衆性を意識したような曲調・アレンジの歌をリリースし、それなりにヒットチャートを賑わせたりもしている現在までの「ユニバーサル・ミュージック時代」である。

どの時代のエレカシも魅力があるが、いやさっきも書いたとおりユニバ時代の曲はぶっちゃけロクに聴いてないが、ともあれ、とりわけ俺が好きなのが「東芝EMI時代」だ。

より正確に言うと、14thアルバムである『俺の道』(2003年)から、17thアルバムの『町を見下ろす丘』(2006年)がリリースされたあたりの時期である。

メンバー各人の年齢が30代中盤から40代に差し掛かろうとしていた頃であり、中年らしい枯れた味わいと、まだまだ燻りつづけている宮本の情念・衝動、これらが絶妙なバランスで同居している曲が多く作られている。おそらくエレカシの歴史の中でもっとも見過ごされている時期だと言っていいのではないか。

ウィキペディアにも書かれているが、実際この時期は「音楽バラエティ番組での面白いキャラクター」が定着したことへの反省からメディアへの露出を極力減らしていたらしい。

「ぜひこの時期のエレカシの曲を知ってほしい!」

 そんな思いを込めて、あらためて振り返ってみる。

『俺の道』(2003)

俺の道

俺の道

 

まさに名盤中の名盤と言える。情熱や葛藤、苦悩にまみれた宮本の情念・衝動が四方八方に爆発しまくっている大ロック絵巻。個人的にもリアルタイムではじめて本腰を入れて聴いたエレカシのアルバムで、思い入れが深い。

 

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なにしろ宮本のヴォーカルが凄まじい。こんな凄まじい歌声はなかなか聴けるもんじゃない。ゴリゴリのハードなロックナンバーだが、それでいてポップな親しみやすさもきちんとある。衝動と熟練のバランス具合が絶妙。

 

俺の道

俺の道

ブルージーなバンド演奏をバックにサビで音割れするほどの雄叫びを上げる宮本のヴォーカルに圧倒される。上で書いたように独特の枯れたような味わいを醸しているのもこの時期の魅力。

 

当時37歳だった宮本の心情を赤裸々に綴ったナンバー。いくら技巧的に優れていようが、想像上のアカの他人に向けて作られた曲なんかより、歌い手自身の内面をぶちまけた曲のほうがよっぽど共感するし胸に響く。そんなことをあらためて教えてくれる曲である。

 

『扉』(2004)

扉

 

時期が被るので一応取り上げるが、ぶっちゃけこのアルバムに関してはあまり思い入れはない。地味すぎる感じが好みに合わない。ただ、好きな曲がないわけではない。

 

生きている証

生きている証

力強さと切なさが同居したフォークソング。いつかのライブで生で聴けたときは鳥肌が立った。いまでも演奏されているのだろうか。

 

『風』(2004)

風

 

キーボードを大々的にフィーチャーしたファンキーなバンドアンサンブルが印象的な16thアルバム。聴き手の背中をぽんと押してくれるようなやさしげな曲が多い。

 

平成理想主義

平成理想主義

めまぐるしく転調する構成でありながらメロディはとんでもなくポップ。グルーヴィなバンドサウンドも極上。9分16秒もあるかなりの長尺作だが、聴いていてもまったくだれることはない。もうほんとうに何度聴いたかわからないほど好きな曲だ。

 

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かつて1stアルバム収録の「デーデ」で「♪友達なんかいらないさ。金があればいい」と嘯いていた男が「♪友達がいるのさ。明日もまた出かけよう」と優しく語りかけるように歌っているっていうのがなんというか、うまく言えないが感動する。ライブで「デーデ」と続けざまにこの曲が演奏されたら客が混乱してしまうのでは、と余計な心配をしてしまうが、そんなことはどうでもよくなるほど瑞々しいエネルギーに溢れた曲である。ほんとうに素晴らしい。

 

『町を見下ろす丘』(2006)

町を見下ろす丘

町を見下ろす丘

 

前作に引き続き優しげな視線に加え、諦念のごとき心情が感じられる曲が多く収録されている。こちらもやや地味な感があるアルバムだが、匠の技と言うべきポップセンスが遺憾なく発揮されている名盤である。

 

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いいねえ。せつないったらありゃしない。せつなすぎて泣けてくるじゃないか。おとなしすぎず、かといって派手すぎないアレンジがじつに心地よい。

 

エレカシとしては珍しいキュートな趣のあるナンバー。ふわふわとした彩りを添えているエレピがじつに味わい深い。

 

以上である。

ちょっとなげえか。まあ、いいか。大好きな時期のエレカシについて好き勝手に書けたので良しとする。