『ワッツイン』休刊。こんな音楽雑誌(洋楽雑誌)を私は読みたい。

今週のお題「卒業」

音楽雑誌の『ワッツイン』が2016年4月号をもって休刊となるらしい。

natalie.mu

『ワッツイン』といや、かつて『ワッツイン・エス』という姉妹雑誌もあったはずで、あちらのほうはたしか洋楽をメインに扱った雑誌だったと記憶している。その『ワッツイン・エス』で、かつてオアシスの特集記事を読み当時リリースされたばかりであったアルバム『モーニング・グローリー』を購入、その後、私は、オアシスならびに洋楽にはまっていくことになったのだった。それだけに休刊という報はじつにさびしいばかりだ。

まあ、もう長いこと読んでなかったけど。

『ミュージック・ライフ』や『BUZZ』なんかはもうとっくのとうにお亡くなりになられているし、『クロスビート』も何年か前にやはり力尽きお亡くなりになられたというのを風の噂で訊いた。南無南無。

あ、そういや『イン・ロック』って雑誌もあったなあ。まあ、あれは内容的にアレな雑誌だったし、やはりお亡くなりになっているだろう、ついでに南無南無……と思って調べてみたら、まだご健在であった。

私が定期的に購読していたので今も生き残っている音楽雑誌は、『ミュージック・マガジン』と『ロッキング・オン』あたりだろうか。うーん。栄枯盛衰というべきか。言わば音楽雑誌をとうの昔に「卒業」した身である私が言える立場ではないが、それでも音楽雑誌を最大の情報源としていた世代として言わせてもらえば、やはりなんともさびしい。

 

MUSIC LIFE 1997年5月号

MUSIC LIFE 1997年5月号

 
CROSSBEAT(クロスビート) 2002年6月号 (クロスビート)

CROSSBEAT(クロスビート) 2002年6月号 (クロスビート)

 
イン・ロック 2016年 04 月号 [雑誌]

イン・ロック 2016年 04 月号 [雑誌]

 
ミュージックマガジン 2016年 04 月号

ミュージックマガジン 2016年 04 月号

 
rockin'on (ロッキング・オン) 2007年 07月号 [雑誌]

rockin'on (ロッキング・オン) 2007年 07月号 [雑誌]

 

 

ところで、冒頭リンク先の『ワッツイン』休刊の記事に目を通したところ、ある部分が気になった。

2015年7月発売号より誌名表記を現在のものに改め、ロングインタビューを中心とした内容へ大幅リニューアルした。

これって結果的に自分で自分の首を絞めてしまったのではないか。

というのも、かつて私が購読していた音楽雑誌の大半もそうだったがインタビュー記事が紙面の6割ちかくを占めている感じで、マツコデラックスのレギュラー番組なみに多いのである。これではいくら大のマツコ好き、もとい、インタビュー記事好きな読者であろうとも、めくるたんびにインタビューインタビューばっかじゃあ、いささか食傷気味になろうというものだろう。

もちろん、音楽雑誌なんだからミュージシャンの声を読み手に届けるのは重要なことだし、なにより

「毎回インタビューつってミュージシャンを取材して、そんでもってレコード会社やらから広告費をもらえるわけで、いやでもそうしないとウチらもおまんまが食えなくなっちゃうんだよ~ん」

なんていう雑誌編集者たちにとっては微笑ましくも頭の痛い問題があるのかもしれない。

そこらへんは詳しくはしらない。しらないが実際問題、お目当てのミュージシャン以外のインタビュー記事を読みたいなんて読者はそうそういるもんじゃないと思う。早急に改善すべきだろう。

個人的に音楽雑誌でやりゃあいいのにと思っているのが「ミュージシャンによるミュージシャン評」である。

近田春夫の『考えるヒット』もそうだし、以前マーティ・フリードマンのJ-POP批評がおもしろいという記事を書いたりもしたが、「餅は餅屋」という言葉があるように、音楽のことはやはり同業者が語るのが一番おもしろいし読み応えがあると思うのだ。

考えるヒット (文春文庫)

考えるヒット (文春文庫)

 

gu-tara-tonchi.hatenablog.com

 

まあ、さすがに邦楽ミュージシャンがおなじ邦楽ミュージシャンについて忌憚のない意見を書くとなると角が立ったりして難しい部分もあるだろうから、洋楽雑誌が邦楽ミュージシャンを専属ライターとして雇って批評文を書かせるというのはどうであろうか?

たとえば、長渕剛によるレディオヘッド『OK コンピューター』の批評文なんておもしろそうだ。個人的に長渕剛の音楽的な趣味趣向に関して詳しいことはよくしらないが、果たしてどういう内容の批評文になるのか。絶賛かはたまた罵詈雑言に溢れた辛辣な文章となるのか。めちゃくちゃ読んでみたい。

で、

「なに? 『○○(←音楽雑誌)』が長渕をライターで雇っただと?! こっちも負けてられん。おい! 椎名林檎にアポ取れ! すぐにライターとして雇って、テイラー・スウィフトのアルバム評を書かせるぞ!!」

という感じで、結果的に洋楽雑誌全体に活気が生まれることにもなるんじゃなかろうか。

経営が傾きかけている洋楽雑誌の編集長さん、イチかバチかでぜひ検討してみていただきたい。俺は読みたいぞ(とくに長渕のディスクレビュー)。