PRIDEやK-1に夢中になっていた時代。
映画でいわゆる格闘シーンになったとき、「ヒョードル基準」で鑑賞するのが俺のお決まりのパターンになっていた。
「ヒョードル基準」とはなにか。
つまり、
「この映画に出ている“コイツ”は、ヒョードルより強いのか」
ということである。
たとえば、ゾンビVSヒョードル(全盛期)で考えてみよう。
まあ、ヒョードルだったらVSゾンビ10体は余裕だろう。
20体でようやくイーブンといったところか。
マシンガンを持ったヒョードルならゾンビ100体、戦車に乗ったヒョードルならゾンビ1000体はイケるはずだ。
ヴァンダムやセガールなんかは、映画ちゃんと観たことないのでよく知らないが、たぶんヒョードルの圧勝。素手同士ならば『ダークナイト』のジョーカーも相手ではないだろう。武田鉄也扮する『刑事物語』の片山刑事に至ってはヒョードルが出るまでもない。さすがに永田さんあたりでもフルボッコにできるだろう。
では、『燃えよドラゴン』のブルース・リーVSヒョードルはどうか。
スピードはリー、パワーは体重差を考慮してヒョードル優勢か。立ち技の多彩さはリーが上。寝技はヒョードルのほうに分があると見た。
いずれにしても、かなり実力が拮抗した戦いになるに違いない。
結論。
『燃えよドラゴン』のブルース・リーは、やっぱり強かった。
ちなみに本作『燃えよドラゴン』のブルーレイには特典映像として、製作者のコメンタリーや自宅庭でのブルース・リー本人のトレーニングシーンに加え、リー自らが発案・実践した格闘技「截拳道(ジークンドー)」の詳術や、またリーが映画の中だけではなく格闘家として「実戦」においてもいかに強かったか等について、周囲にいた人間や本人の生前のコメントも交えながらこれでもかと語られている。
ブルース・リーに対してとくに「映画外での強さ」を求めていない俺からすれば、3時間以上も収録されているそれはある種「拷問に近い特典」だったが(もちろん、映画自体の話も多くされてはいるが)、まあ本当にブルース・リーが強かったかどうかはともかく、本編序盤において総合格闘技で使用されているオープンフィンガーグローブの原型となったモノが登場するあたり、アクションスターとしてだけではなく格闘家としても稀有な才能の持ち主であったことは間違いないだろう。
ともあれ、「ブルース・リーはガチで強かった」というのは、やはりブルース・リー・マニアにとってはある意味、死活問題であるはず。しかし、それも截拳道の使い手が格闘技界で活躍すれば一挙に解決である。そのとき、第何次目かのブルース・リー・ブームがやってくるかもしれない。