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そうだ、車切ろう。

テレビ 日常

ある夜、なんの気なしにテレビをザッピングしてたら、CSで通販のコマーシャルが流れていた。

アメリカ人っぽい白人の男ふたりがやたらと陽気な調子で商品の説明をしている。

どうやら「デュアルソー」という名前の電動ノコギリを紹介しているらしい。

ただの電ノコではない。とても高性能な電ノコとのことだ。

まず、なんといっても2枚刃なので切れ味が素晴らしいという。さらに従来の製品と比べて動作音も静かであるとのこと。おまけに通常の電ノコは前進しか出来ないが、このデュアルソーはバックしながらも切ることが出来るので、とても便利である……というようなことを陽気な白人どもが一生懸命説明している。

陽気な白人どもが説明している最中、木材や鉄パイプなどを切断する映像が画面に映し出されているが、ものの見事にすぱすぱ切っている。凄い。素晴らしい切れ味だ。俺自身、思わず欲しくなってしまったほどだがやめた。

電ノコを使用する機会など基本的にないし、そんなものを購入して部屋に置いていても邪魔でしょうがないからだ。

と、突然、画面にまたひとり、べつの白人男が現れた。フレデリックという名前の男だ。デュアルソーを使って車を真っ二つに切断してみせるという。

そりゃまあ出来たら凄いだろうが、だからってなにも車を真っ二つにしなくたっていいじゃないか。意味がわからない。

もちろんフレデリックはそんな疑問などおかまいなしだ。あれよあれよという間に車が真っ二つになっていく。凄い。本当に凄いよ。

と、ここで、画面の下に以下のようなテロップが表示されていることにふと気づいた。

「※あくまで映像上の演出であり危険ですのでマネしないでください」

するわけないじゃないか。

車を真っ二つにする理由がどこにあるんだ。

それにしても、じつによく切れる。あまりの切れ味に感心するばかりだ。ついついマネしたくなる人間だっているかもしれない。

「さあ、切るぞ」

そんなようなセリフを口にしながら、届いたばかりのデュアルソーを手にする男。

数分後、男の目の前にあるのは真っ二つになった自分の車だ。

「あーっ!!!!! やっちまった……」

男は後悔するが、後悔したところであとの祭りだ。

恐ろしいのは、自分の車を真っ二つにしたぐらいで男の気が済むとは到底思えないことである。

ある朝、いつものように会社に行くため外に出た人々は唖然とする。町中のいたるところにある車が、すべて真っ二つになっているからだ。もちろん「デュアルソーの男」の仕業だ。大惨事だ。

しかし、幸運なことに、いまのところそのような悲惨な光景を目撃したというニュースは聞いたことがない。それもこれもあの注意喚起のテロップのおかげだ。テロップさまさまだ。

というか、

「馬鹿の購入、お断り」

というテロップを常時出してるほうが手っ取り早いのでは、と思った。

 

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