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映画『リプレイスメント・キラー』‐良くも悪くも「劇団ユンファ」な映画‐

映画

チョウ・ユンファという人が出ている映画をはじめて観た。

それにしても、劇団ひとりに似ている。

ためしに「チョウ・ユンファ」でググってみたら関連ワードで「劇団ひとり」が当然のように出てきた。これはもう「相当に似ている」と多くの人間に認知されている、ということだ。

事情がわからないおじいちゃんおばあちゃんに本作を見せたら、

「あんれま。こりゃ、大沢親分の孫娘のお婿さんじゃのーて。テレビで漫才ばっかしやってると思ったら、最近は映画に出て外人さんと共演なんかもしておるんじゃのう。えらいこっちゃえらいこっちゃ」

などと勘違いされること必至であろう。

で、さらにネットで詳しく検索してみたところ、どうやらチョウ・ユンファには熱狂的なファンが多く存在しているらしいことがわかった。なにしろあるホームページの書き込みでは、チョウ・ユンファのことをファンが親しみを込めてこう呼んでいるのだ。

「兄貴」

むろん、「弟思いの兄役を演じさせたら右に出るものはいない」とか、そういったふうなことを指しこう呼んでいるのではないということは、馬鹿でもおわかりだろう。

キーワードを挙げるとすれば、「クール」「仁義」、さらに「多くを語らず、困難に立ち向かう」であろう。ようするに、「漢気」ということであり、「男が惚れる男」ということだ。我が国の俳優でいえば、竹内力哀川翔とおんなじタイプだと考えればいいだろう。

たしかにそれは本作を鑑賞してみてよくわかった。

なにしろ本作でチョウ・ユンファ演じる主人公は、殺し屋であるにもかかわらず対立しているはずの警官のこどもの命を守るため困難に立ち向かうのだ。

素朴な感想で申し訳ないが、いい奴なのか悪い奴なのか、もう、わけがわからない。

しかし、これこそが「男心をくすぐる」というやつで、ファンからしたらたまらないのだろう。つまりは「正義とか悪とか関係ない。ただ、人の道から外れたことをする輩は許さん!」と、そういうことなわけであり、

「♪曲がったことがだ~い嫌い、チョウ~ユンファです」

という、例の原田泰造の替え歌が今にも聴こえてきそうである。

あと、目力が凄い。終始、「うんこ踏んづけちゃった」みたいな、眉間に皺を寄せ深刻そうな表情を見せつける彼であり、ともかくチョウ・ユンファが画面に登場するだけで緊迫感が倍増しだ。

そういえば渡辺謙にしても、ハリウッド映画に出演した際には、やはり異様に目に力が入った演技をしている。ヴィジュアル的な派手さではどうしても負ける西洋人俳優へのアジア人俳優ならではの対抗手段なのかもしれない。

とりあえず、主人公があまりにも無敵すぎる非現実的な設定がいけなかったのか、あるいは「顔が似すぎ」なのがいけなかったのか、私にとっては「劇団ユンファ」以上でも以下でもない作品だった。

チョウ・ユンファを「兄貴」と呼べる日が来るのには、まだまだ時間がかかりそうだ。