音楽:「ボンバヘッ!」の功罪『m.c.A・T考』

m.c.A・Tがデビュー21周年を記念してライブを行ったらしい。


m.c.A・T21周年 衰えぬハイトーン - 音楽ニュース : nikkansports.com

 

ライブでは、この曲をやらないでどーするんだ的なヒット・チューン「Bomb A Head!(以下、ボンバヘッ!)」も披露されたそうだ。しかも、オープニングとラスト、計2度も披露されたとのこと。

そういえば、数年前には収録曲のすべてが「ボンバヘッ!」のアルバムをリリースという、本気ともギャグともとれるアクションを起こし一部の音楽リスナーを騒然とさせたA・Tでもあり、それというのも、リスナーはもとよりおそらく当事者であるA・T自身とっても、「ボンバヘッ!」はm.c.A・Tという存在を象徴する特別な楽曲と考えているからなのだろう。

Bomb A Head!生誕20周年記念盤~ありがとう編~

Bomb A Head!生誕20周年記念盤~ありがとう編~

 

とはいえ、厳密に言えばm.c.A・Tは「ボンバヘッ!」だけの、いわゆる「一発屋」ではない。「ボンバヘッ!」のほかにもヒット曲は存在するが、たとえばある日、仲間内で、なぜか突然A・Tのことが話題になったとして、「ミュージシャン・m.c.A・T」の考察はまったくといっていいほど展開されず、結局「ボンバヘッ」の話のみに終始してしまうのも、「ボンバヘッ!」のインパクトがあまりにも絶大過ぎるためであるからであろう。

事実、J-POPの世界では、愛だ、恋だ、親に感謝だ、友情だ、努力だ、夢だ、などと、みんなして説教臭いことを歌うのが半ばルールのように決まっているらしく、じつに微笑ましいかぎりだが、そんなしち面倒くさい御託をわざわざ並べずとも

「ボンバヘッ!」

と一言口にすればすべて事足りるのであって、「愛」も「恋」も「親に感謝」も、「友情」も「努力」も、さらには一発ギャグ的な要素までも、あらゆる意味を含む万能の言葉、それが「ボンバヘッ!」なのである。

思うに、「ボンバヘッ!」という言葉に対抗できるのは「伯方の塩」ぐらいではないか。


【CM】伯方の塩(2014年)その1 - YouTube

「は!か!た!の!しお!」だ。

しかし、

「ボンバヘッ!」

「は!か!た!の!しお!」

で「ボンバヘッ!」の方が1文字短い(感嘆符抜き)ので、「ボンバヘッ!」の勝ちだ。

わけがわからない。

これはまったくの余談だが、以前、友人ふたりが激しい口論を繰り広げてしまい、仲間数人で仲裁に入ったものの一向に事態が改善されずに困ってしまったわけだが、そのとき

「まあとりあえず、『ボンバヘッ!』ってことでいいじゃないか」

と何の気なしに私が口にした瞬間、嘘のように場が丸く収まったことがあった。

嘘のような本当の話ではなく嘘である。

で、それはともかく、正味の話、m.c.A・Tといったらなによりも語られるべきはヒップホップということだろう。

まだ日本の音楽シーンにヒップホップというジャンルが根付いていない時代にそれを取り入れヒットさせた功績はやはりそれなりに評価されるべきだろうし、曲単位で考えても、「ごきげんだぜっ!」のポップなパーティ感覚、「Funky Gutsman!」のサビで展開されるメロディックな高揚感など、まさに職人と言っていいレベルの堂々たる手腕である。

しかし、それらも「ボンバヘッ!」のインパクトの前ではやはりとことん無力だ。

むしろ、ことが「ボンバヘッ!」なだけに、m.c.A・Tの音楽について真面目に語ることが馬鹿馬鹿しくすら思えてきてしまう。

「ボンバヘッ!」の罪は、あまりにも重い。

 

Bomb A Head!

Bomb A Head!